【神尾寿のアンプラグド特別編】新たな形態のキャリア「ディズニー・モバイル」が誕生

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【神尾寿のアンプラグド特別編】新たな形態のキャリア「ディズニー・モバイル」が誕生
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独立したキャリアとして「世界観を提供」する

1月22日、ウォルト・ディズニー・ジャパンが、日本で新たに開始する携帯電話サービス「ディズニー・モバイル」の記者発表会を開催した。同サービスはソフトバンクモバイルとの協業により、3月1日からスタートする。

ディズニー・モバイルは、ソフトバンクモバイルの携帯電話インフラを利用するサービスで、広義ではMVNO(Mobile Virtual Network Operator : 仮想移動体通信事業者)に位置づけられる。しかし、欧米のMVNOと異なり、日本のディズニー・モバイルは端末開発や販売チャネル、ユーザーサポート体制、コンテンツ開発など多岐にわたってソフトバンクモバイルが支援し、ディズニー・モバイルと協調体制を敷いている。そのため両社は、ディズニー・モバイルの事業を欧米で一般的なMVNOではなく、日本オリジナルの“協業型キャリアビジネス”と位置づけている。

今回のディズニー・モバイル設立にあたり、ウォルト・ディズニー・ジャパン代表取締役社長のポール・キャンドランド氏は、ディズニーが統一された世界観を大切にする企業であると強調。

「私たちはディズニー・マジックを、ディズニー・モバイルを通じていつでも・どこでも楽しめるようにしたい」と話し、ディズニー・モバイルが端末からサービスまで、細かな部分までディズニーの世界観にこだわって作られたと説明した。さらに会場には、ソフトバンク・モバイルの孫正義社長も駆けつけ、キャンドランド氏と握手。日本の携帯電話業界におけるディズニー・モバイル誕生の意義について話した。

「日本の携帯電話業界はこれまで、通信速度やサービスの広さ、カメラなどの端末スペックの部分でばかり競争していました。しかし、今後はそういったハードウェア面だけでなく、コンテンツのより深い部分で魅力を引き出すことも大切。ディズニー・モバイルでひとりでも多くのユーザーの皆さんに、ディズニーの世界観を広げていきたい」

ウォルト・ディズニー・ジャパンはこれまで、日本の携帯電話各社向けにコンテンツ事業を展開しており、メーンユーザー層は「20歳以上の女性が75%を占めている」(ディズニー・モバイル、ヴァイス・プレジデントのデービット・ミルスタイン氏)状況だ。ディズニー・モバイルの当初のターゲットもこの層になり、端末は薄型・スリムで、各所にディズニーのデザインが施されたDM001SHが用意される。

「ディズニー・モバイルの端末は当初は1機種からですが、今後は年3回のペースで新機種を投入したい。また、我々の端末はワンセグやモバイルFeliCaなど日本の主要なニーズは充分に満たす内容になっています」(ミルスタイン氏)

料金プランはソフトバンクモバイルの「ホワイトプラン」や「Wホワイト」、「ホワイト家族24」などをベースにしたものとなり、ディズニー・モバイルのサービスを示す(D)の名称がつくが、内容はほぼ同じとなる。また、ソフトバンクモバイルの携帯電話との間で音声定額サービスや家族契約割引が適用される予定だ。

さらに携帯電話ビジネスで重要な端末販売やサポートの拠点は、全国2521店舗のソフトバンクショップと、家電量販店、さらにディズニー・モバイル独自のオンラインサイトが担当する。ディズニー・モバイルはMNPの利用も可能な「れっきとした単独のキャリア」(ディズニー・モバイル)という位置づけだが、多くの部分でソフトバンク・モバイルとの連携が図られる見込みだ。

◆2008年は協業型MVNOの「当たり年」!?

今回、発表されたディズニー・モバイルは、形としては単独のキャリアだが、その内情はソフトバンク・モバイルとの連携・支援によって成り立った新しい形態の「携帯電話キャリア」だ。携帯電話業界内ではこれを“日本型MVNO”と呼ぶ向きもあり、総務省などは個性的なキャリアの登場が進むことで、ユーザーの選択肢が増えると歓迎している。また、総務省が昨年策定した「モバイルビジネス活性化プラン」ではMVNOの参入促進が重点項目としてあげられており、既存キャリアと新規参入を目指す事業者が「WIN-WIN」の協業体制となる今回の方式は、今後さらに広がる可能性がある。

翻って、携帯電話業界のこの流れを自動車業界にも広げれば、ブランド力があり、一定数以上のロイヤル・カスタマーを持つ自動車メーカーも、日本型MVNOで“独自キャリア”になれる候補といえる。例えば、メルセデスベンツ、BMW、アウディといったドイツメーカー御三家や、日本のレクサスなどがケータイキャリアになっても不思議ではない。

ディズニー・モバイルをはじめとする日本型MVNOの動きは、自動車メーカーのCRMやブランドビジネスといった観点からも、チェックしておいて損はないだろう。

《神尾寿》

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