低く、小さく、軽くなった新しい『デミオ』の走りは、そんなディメンションの変化がもたらす軽快感の高さが印象的。MT仕様で乗れば1.3リッターモデルでも動力性能は十二分。「この組み合わせこそが、デミオ本来のよさをもっとも素直に感じさせてくれる」とも思えるもの。
いっぽうで、余りに軽いドアの開閉感や剛性感に欠けるルームミラーの触感、ガタの大きなシート・リクライナーレバーの操作感などで、走り出そうという以前の段階で全般的な質感が今ひとつなのは気になる。こうしたモデルに過ぎたる高質さは望むべくもないとしても、何となくすべてが安っぽく思えてしまう点が少々惜しい。
街なかで見掛けるようになったデミオの多くが“わ”ナンバーであるのも、どこか“レンタカー御用達”のようでもあってイメージ的に損をしている感アリ。
こう考えてくると、ちょっと無骨なスクエア形状ながらも、それが独特の価値観としっかり感を演じていた従来型がなぜか懐かしい。
■5つ星評価
パッケージング:★★★☆☆
インテリア/居住性:★★★☆☆
パワーソース:★★★☆☆
フットワーク:★★★☆☆
オススメ度:★★★☆☆
河村康彦|モータージャーナリスト
1985年よりフリーランス活動を開始。自動車専門誌を中心に健筆を振るっているモータージャーナリスト。愛猫家なのに猫アレルギーが発症し、このところ辛い毎日……