「日本の自動車メーカーにおけるプラスチック利用の割合は、欧州メーカーに比べてずいぶん低く、米国や韓国メーカーに比べても低い」
こう話すのは世界最大の化学会社、独BASFのサウス・イースト・アジア エンジニアリングプラスチック事業部門グループ・バイス・プレジデントのハーマン・アルトフ氏だ。同氏はBASFのチーム・オートモーティブ・アジアのチェアマンも務めており、自動車産業に精通している。
同氏によれば、欧州の自動車メーカーは車体の軽量化のために、鉄などの重い金属をプラスチック素材へ積極的に置き換えており、中型車では総重量の17%強がプラスチック素材なっているという。ところが、日本メーカーの場合は約10%に過ぎないそうだ。
というのは、すでに技術的に確立されたものであっても、日本の自動車メーカーはプラスチックを自動車の部品として採用していないためだ。しかし、車体の軽量化や燃費のことを考えると、今のままでいいというわけにはいかない。
アルトフ氏は、金属がプラスチックに置き換わる余地が特に日本の場合は大きいと見ており、「われわれのプラスチックを使えば、1台当たり最大50kgの重量を削減できる」と強調する。しかも、コストについても鉄とほぼ同等で、おまけに自由にデザインができて他の部品との一体成形もしやすいという。