【清水和夫のサステナブル・リポート】ダイハツ 新パワートレーン その4…技術開発のキーマンに聞く 中脇康則 上級執行役員

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【清水和夫のサステナブル・リポート】ダイハツ 新パワートレーン その4…技術開発のキーマンに聞く 中脇康則 上級執行役員
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■CVT
軽快な走りと燃費にいい、軽自動車にベストマッチのCVT

変速のために歯車(ギヤ)ではなく金属ベルトを用いる自動変速機のCVTは、AT同様のイージードライブが可能で、変速ショックはなく、しかもATより効率よくエンジン出力を伝達することができるのが特徴です。しかも、ダイハツの新型CVTは“インプットリダクション方式3軸ギヤトレーン”と呼ぶ、世界で初めての構造としています。

これは、4つの軸を持つ従来のCVTとは異なり、入力軸上に小さな減速ギヤを組み込んで減速と逆転を同時に行なうことで、3軸構成としたものです。軽量、コンパクトであるのはもちろん、世界最小の回転ベルトを採用したことでも従来のATを約15%上回る低燃費、また、たとえば40-80km/hの追い越し加速では、従来ATのタイムを約10%短縮する動力性能を達成。実際の走行でもきわめて大きいメリットが期待できます。

しかも、通常の使用感覚にも配慮、トルクコンバーターをユニットに組み込んでクリープ現象を発生させているので、坂道発進や車庫入れなどはATとまったく同じ感覚、違和感を感じさせません。

スモールカーの使用条件にフィットし、また、軽自動車の可能性を大きく広げるCVTといっていいかもしれませんね。

■スーパーインテリジェント触媒
ナノテクを駆使、長寿命の排出ガス浄化性能に貢献するデバイス

通常、劣化していく触媒貴金属(パラジウム)に自己再生機能を持たせることで、安定した触媒性能を長期間持続させるのが、インテリジェント触媒です。

それをさらに進化させ、ガソリン自動車用触媒に使用されている3種類すべての貴金属(パラジウム、ロジウム、白金)に自己再生機能を持たせることに成功したのが、“スーパーインテリジェント触媒”ということになります。

優れた排ガス浄化性能をキープしながら、触媒貴金属の大幅な低減というメリットをもたらす、画期的な触媒材料技術です。他メーカーでも貴金属を減らすことにチャレンジされているようですが、いち早く実用化したのは、ダイハツが世界で初めて。ダイハツの軽自動車を中心に順次採用を拡大しております。

■触媒早期活性化システム
スパーク時のイオンを活用、冷間スタートから排出ガスはクリーン

冷えた状態の触媒に排ガス浄化性能が期待できない点に着目し、エンジン始動直後の浄化性能を向上させたのが“触媒早期活性化システム”です。

“いち早く排ガス温度を高温にして、触媒の働きをスピーディに活性化させる”のが基本的な考え方で、点火タイミングを遅らせる(=排ガス温度を高める)ことで生じるシリンダー内の失火や燃焼悪化を、燃焼反応においてのイオンの発生パターンからリアルタイムに検出。良好な燃焼状態を保つことのできる限界点で点火できるように、数ミリ秒レベルで点火タイミングを制御することに成功したのです。事実、それまでと比べ、エンジン始動後の排ガスの大幅な浄化が確認されています。

ちなみに、火炎中に発生するイオンを検知し、燃焼状態をリアルタイムに測定しながら燃焼を制御する技術は世界初。またイオンを検知するセンサーは、既存の点火装置への組み込み型で、サイズやコストともに軽自動車に適したシステムとなっているのもポイントといえるでしょう。

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《清水和夫》

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