NTNは、トランスミッション用軸受に、回転トルクを80%低減した密封型深溝玉軸受を開発したと発表した。
自動車の省燃費化要求の高まりに伴ってトランスミッション用軸受の低トルク化の必要性が高まっている。
これまでトランスミッション用軸受は、回転トルク重視の開放型軸受か異物侵入防止重視の密封型軸受を採用していた。開放型軸受はシールがないため、回転トルクは低いものの、異物が侵入し易く軸受寿命の低下が懸念される。このため、特殊材料、特殊熱処理を施す必要があった。
一方で、密封型軸受は、シールが装着されているため、異物侵入防止には優れているものの、開放型に比べて大幅に回転トルクが高いという課題があった。
今回開発した製品はシール材の組成とリップ形状を見直し、内輪シール摺動部の最適化を図ることにより、軽接触シールのリップ部を早期に摩耗させ、非接触シールとし、最も小さなすきまを得ることができた。これにより、シール性を確保しつつ、通油性は従来品の約30倍で軸受潤滑を確保し、加えて開放型軸受と同等の回転トルクも実現した。
さらに保持器ポケット部形状の改良とグリース性状の見直しにより、従来の「軽接触シール付玉軸受」に比べて80%の回転トルク低減を実現した、としている。
NTNでは自動車の省燃費化に貢献できる商品として、グローバルに市場展開していく。