三洋半導体は、2011年の地上デジタル放送への完全移行に向けて需要が見込まれる、VICS受信用FM多重チューナーLSI「LC01700」を開発、量産を開始した。
VICSは渋滞情報や交通規制情報を提供する情報通信システムで、国内のカーナビゲーションの約8割に搭載されている。現在、VICS受信はアナログTVチューナーで兼用されている場合が多く、2011年の地上デジタル放送完全移行でアナログTVチューナーがデジタルTVチューナーに置き換わることにより、新たにVICS受信専用のチューナーが必要になる。
今回開発したLC01700は、VICS受信用LSIとして初めてのCMOSプロセス製品であり、VICS受信に必要な機能すべてを1チップに内蔵した。これまで外付けだった部品を内蔵して部品点数を削減したため、FMチューナーモジュールの小型化、低コスト化、低消費電力化を図る。
製品はアンテナ端での不要輻射が少ないため、ナビゲーション内の部品レイアウトの自由度が向上し設計も容易になるとしている。
同社では今後、より小型で低消費電力なFM多重チューナーLSIや、さらにはVICSデコーダー機能まで1チップに内蔵した新製品の開発を進め、VICSの普及を通じて交通システムの円滑化や地球環境の保全に貢献していくとしている。