【伊東大厚のトラフィック計量学】原油高と高速道路の交通量

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お盆期間の高速道路交通量

今年は、原油高と景気の落ち込みで自動車の利用が減り、あまり渋滞しなくなったという話をよく耳にする。燃料費の急騰は自動車交通量にどのくらい影響しているのだろうか。高速道路の事例をみてみよう。

NEXCO各社のまとめによると、今年のお盆期間中(8月7日から17日の11日間)、高速道路の利用台数は昨年より平均3.4%減り、10km以上の渋滞は372回から303回と18.5%減っている(図1)。

8月、特にお盆期間はレジャー交通が多いため、高速道路の交通量は天候に左右されやすい。今年の8月はあまりお天気に恵まなかったため、天候も一因にあるとは思うが、今春以降の燃料費急騰は交通量の減少に影響したとみてよいだろう。

◆レギュラー150円が閾値?

少し遡って、レギュラーガソリンが130円を突破した07年4月以降の高速道路の利用台数を見てみよう。利用台数は季節によって変動するため、各月とも過去12か月間の平均値をとると、利用台数が減少に転じたのは07年12月であったことがわかる(図2)。

裏を返せば、燃料が高騰する中、利用台数は昨年11月まで増加していたことになる。05年から導入されている料金割引や新規開通など、高速道路には交通量を増加させる要因もあるためだ。12月からの減少は、レギュラーが150円を突破し、増加要因を上回ったためだろう。

レギュラー150円の水準は、高速道路の交通量に影響する閾値になりそうだ。燃料価格は現在、少し安くはなったが160 - 170円の水準だ。高速料金の引下げは朗報だが、秋のドライブシーズンでどのくらい回復するか、注目だ。

◆自動車利用や燃費への影響は?

燃料費の高騰は、自動車利用の抑制にどの程度影響するのだろうか。07年度以降、世帯あたり、あるいは自動車1台あたりの走行距離が顕著に減るのなら、それは原油高の影響と考えてよいだろう。

また、燃料費高騰はエコドライブのきっかけになる一方で、高速利用や長距離走行の割合が減り燃費を悪化させる要因にもなる。このように、原油高は自動車の運転や使い方に大きな影響を与える。分析がタイムリーにできるような、速報性ある統計の整備を望みたい。

《伊東大厚》

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