ハッチバックの登場からからわずかな遅れで「SW」が登場してきた。大きく口を開けたようなフロントグリルは際立って個性的なもの。迫力があり過ぎて慣れるにはもう少し時間がかかる感じだ。
BMWとの共同開発による1.6リットルの直噴ターボエンジンはトルク感があって好ましいフィールだが、ATが4速というのは今どきのクルマとしていかにも物足りない。燃費や静粛性だけでなく記号性の面からも5速または6速が欲しい。
足回りは乗り心地の良さが上々のレベルにある。プジョーは『207』で一時、硬めの足回りを採用していたが、『308』では改めてプジョーらしい“猫足”に仕上げてきた。
居住空間はイザというときに7人が乗れる空間を持つが、3列目のシートはさすがに余裕が少ない。後席のシートは畳めるほか、独立して取り外すことも可能だが、日本ではそれが許されるような環境にある人はそうはいない。たいていの人は外したシートの置き場に困るので、そのままにしているはずだ。
●5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★
松下宏|モータージャーナリスト
1951年群馬県前橋市生まれ。立命館大学卒業後、自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者などを経て自動車評論家として独立。クルマそのものより、クルマとクルマに関係する経済的な話題に詳しい評論家を自負する。購入ガイド系の記事を中心に、クルマ雑誌各誌、インターネットなどに執筆中。1991年から日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。