原油高とドライバーの意識変化
原油高は、交通のみならず経済や生活に深刻な影響を与えている。07年春にはレギュラーガソリンが130円、年末には150円を突破する水準となり、クルマの利用や運転行動に影響を及ぼしている。
今年7月、JAFが実施したドライバー向けアンケートによれば、「車を保有・使用する上で負担感を感じる」、「車の使い方に普段の生活に変化があった」との回答が、いずれも約8割にのぼっている(図1)。
具体的には、「車をあまり使わなくなった」、「ドライブなど外出を減らした」、「燃料を節約する運転を心がけけるようになった」、「徒歩や自転車の利用を増やした」が多く挙げられている。中には「燃費の良い車に買い換えた」、「保有台数を減らした」との回答もある。燃料の高騰が、ドライバーの意識に大きな影響を与えていることがわかる。
◆運転行動の変化
運転行動は実際、どう変化しているのだろうか。警視庁では毎年、都内の主な一般道路と首都高速の交通量(走行台km)や渋滞状況を公表しているので、東京の事例をみてみよう。
東京都内の交通量は、減少傾向にある。首都高速はほぼ横ばいだが、一般道路は明らかに減っており、直近では年2ポイント減だ(図2)。また高速道路より一般道路での減少が大きいことから、送迎や買い物といった日常的なクルマ利用が抑制されているようであり、東京の公共交通が充実している点も、それを助長する要素だ。
一般道路の渋滞は、ほぼコンスタントに減っている(図2)。交通量の減少も一因あるが、「スムーズ東京21」など交差点の改良、環状8号線の全線開通、路上駐車取締り強化をはじめ、都が実施した対策の効果も無視できない。
◆速報性が重視される時代に
08年に入り、原油高はさらに深刻な状況となった。また経済・金融のみならず、大規模な交通事故や災害は自動車交通に大きな影響を与える。8月の首都高速タンクローリー火災事故は、どのような影響があったのだろうか。
今回紹介した警視庁の統計は、車両感知器という路側センサーを活用している。こうした路側やクルマに積まれたセンサーを活用すれば、タイムリーな状況把握と対処が可能になる。
これからの交通統計は、半年から1年遅れではなく、速報性をより重視しなければならない時期に来ていると思う。