エクステリアは、力強さと繊細なラインが組み合わされていて、この全体の雰囲気が、日本車にとって真似のできないところの一つです。対向車としてすれ違いざま、『A4』をドライブする女性ドライバーの顔が、和やかな顔つきに見えてしまったりすることが少なくないのも不思議です。
室内は、ごく常識的な丸型のスピードメーターと同形状のタコメーターを並べ、革や木目、光モノなどを組み合わせたシンプルさの中に、いかにも“自動車を運転するための席なのだ”ということを感じさせつつ、運転が仕事ではなく、快適で楽しいものだと思わせてくれるような雰囲気が漂っています。また、今モデルの特徴でもある“LED方式のポジションランプ”は、LED特有のブルーに発光し、いつもクリスマスのイルミネーション気分です。
A4は、セダンとステーションワゴン(アウディ名:「アバント」)の2タイプがあり、この両タイプに対して、1.8リットルエンジンを搭載したFFと、3.2リットルエンジンを搭載した4WD(クワトロ)があります。
そして、セダンもクワトロも、搭載されているエンジンの違い(駆動方式の違い)によって、走った感じが、まったく違ったクルマになっています。例えば1.8リットルモデルは、キビキビとした操作に向いたハンドルの操作性や、ブレーキの踏み込みに適した反応をするのに対し、3.2Lエンジンのほうは、ゆったりとした感じの操作に向いた味付けです。
アウディを買うときには、価格の違いだけで搭載エンジンを決めるのではなく、この「走った感じの違い」を体験してみるべきでしょう。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★★
長嶋達人|自動車ジャーナリスト
1942年東京生まれ。自動車雑誌編集、自動車整備工場整備士、フロントマンの後、フリー自動車ジャーナリスト。チューニング、メンテナンス、メカニズム等の記事を中心に、多数の自動車雑誌に執筆。現在まで、自動車メカニズム関連単行本執筆10冊以上。過去個人所有したクルマは、5.7L・V8エンジン搭載の米国製スポーツカー、国産ディーゼルエンジン搭載車、軽自動車など、好みの方向性に対する節操もなく十数台。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。二級ガソリン自動車整備士。