【COTY 選考コメント】iQをフルマークにしなかったワケ…家村浩明

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【COTY 選考コメント】iQをフルマークにしなかったワケ…家村浩明
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具体的な点は書かないが、私はイヤーカーとなったトヨタ『iQ』にフルマーク(10点)を与えなかった。それはなぜか。理由のひとつは、コンセプトの見えにくさだ。全長はなぜ3m(以下)なのか?

小さいクルマつくりには賛同するが、このサイズに根拠はあるのか? どこかの国や地域では、このサイズが(たとえば税制など)意味を持ったりするのか?

この点についての開発担当者の答えは、きわめて率直なもので、「そんな地域はない。ただ小さいクルマというテーマにとって、キリのいい数字だった」であった。うーん、これはイイね! たとえば、パワートレイン部分と大人2人分の空間を縦に並べたときのミニマムな数値である……、といった優等生的な答えも可能だったはずだが、そうではなく『3』というムリ目の数字を先に掲げて、ともかく突き進んだ開発だというのだ。

こうしてコンセプトの件は解決したのだが、走らせてみてのiQには、私にとっての問題がもうひとつ発生した。それは、足の動きに微妙な“欧州臭さ”があること。たとえば50km/h以下で淡々と流しているような場合の、かすかな“突っ張り感”が乗り心地をスポイルしていて、これは私が知るトヨタ車の足としては、若干不満なレベルであった。

まあこれは現時点でのiQが、まずはヨーロッパを主戦場として開発されてきた結果と考えられ、この点についてさらに指摘すれば、室内から見たときの左右の窓のラインも、日本での使用を考えると、もう少し低くしておきたいとも思った(欧州車では“包まれ感”は重要であるが)。

……というわけで、じっくりと日本やアジアをターゲットにしたときのiQにあらためて期待ということで、日本のカー・オブ・ザ・イヤーでもあり、この08年11月の時点では、私は「10点」を避けたのだった。

家村浩明|ライター
雑誌編集者を経て、1985年頃よりフリーランスで執筆活動を開始。時代を映す「鏡」としてのクルマに関心を持ち、歴史的考察や新型車の批評のほか、開発ドキュメントやモータースポーツを執筆テーマとしている。著書に『自動車コラム大全』、『ル・マンへ…レーシングNSXの挑戦』、『最速GT-R物語』、『プリウスという夢』など。

《家村浩明》

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