日産自動車が19日に発表した新型『キューブ』は、“ピースフル”というキーワードにもあるように、ドライバーの運転する楽しみや、所有者自身を表現するためのスタイリッシュさなどは“二の次”で、とにかく乗る人すべてに“公平にリラックスできる”空間づくりを目指してきたクルマだ。
初代キューブの開発初期から関わってきたという同社Nissan PV第一製品開発本部第二プロジェクト統括グループ主担の守屋剛氏は、ターゲットユーザーについて、「一例で言うと、『後席の人が狭い思いをしているんじゃないか』と常に気にかけてしまう、団塊ジュニアの世代だ。人とのつながりを重視して、すごく人に気を遣うというところがあるドライバーたちともいえる。そんな人たちがモノを買うときってどんな心理状態なのか、などを考えてクルマの開発を進めてきた」と語る。
さらに守屋氏は、先代から進化した点について、「だから今回のキューブは、どの席でも快適さが同じであることが必要条件となり、4席のすべての人が“公平にリラックスできる”空間をつくることを開発目標としてきたクルマといえる。さらに5人目の人が“乗ってみて大損した”と思われないような余裕も取り入れている」とも話していた。
同車の「広告の考え方」の中に、「くらべない、競わない、ゆっくりいこう」というメッセージがある。常に競争社会のなかをくぐりぬけてきた団塊ジュニアをターゲットにした新型キューブは、“クルマの中ぐらいは争いなくハッピーに”とアピールしているようだ。