日立国際電気は23日、業界初となる複数アンテナ接続(マルチ通信ゾーン対応)を可能とした小型民生用DSRC無線基地局装置を開発したと発表した。
新製品は、1台の無線基地局装置に複数のアンテナを接続するマルチ通信ゾーン対応で、複数の通信ゾーンで同時に通信を実現する。これにより、従来は1レーンに1台の無線基地局装置の設置が必要だったものが、1台で複数レーンの駐車場の出入口やセルフガソリンスタンドなどのシステム構築が可能となる。
製品は2006年12月に日立製作所と日立国際電気が共同で開発、発売した民生用DSRC無線基地局装置の後継機種。従来機で実績のある最適化通信制御により、地下駐車場など電波状況が良くない環境や複数の通信ゾーンが隣接する場合でも、安定した通信を実現できる。さらに、回路基板の集積度を高め、体積比で70%、質量比で70%の小型・軽量化により、取り付けやメンテナンスも容易となる。
民生用DSRC無線基地局装置は、ETC車載器の固有番号を読み取り、利用者の車載器IDと、事前に登録された氏名や車両番号などの利用者情報を関連付けることで、駐車場や物流拠点で車両の入退場管理や、有料駐車場やガソリンスタンドなどにおける料金のキャッシュレス決済などのサービスを実現する。
ETC車載器の装着台数は、昨年末で2600万台に達した。日立国際電気では、今後発展が見込まれるETC車載器を利用したDSRC応用サービスのニーズを捉え、無線基地局装置の効率的活用とシンプルなシステム構築実現のため、小型・軽量、マルチ通信ゾーンに対応した製品を開発したとしている。