初代ホンダ『インサイト』のオーナーである僕からすれば、新しいインサイトがデビューしたことで、自分のクルマが旧型になってしまうことは複雑なものがある。しかし、実際にのってみた新型インサイトは、予想していたよりもはるかに完成度が高く良いクルマに仕上がっていた。
スタイリングは、一部にライバルであるトヨタ『プリウス』との近似性を言う声もあるようだが、居住性と実用性、さらに燃費の良さを追求すれば、必然的にあのようなフォルムになるのは当然だ。かつての3ボックス・セダンのスタイリングが似ていたからと言って、オリジナリティが無いとは誰も思わなかったはず。インサイトの実車を見ると、近い将来に、このプリウス/インサイト的な2ボックス・スタイルが、4ドア・セダンのスタイリングの主流になるかも知れないと思わせるほど新しい感覚のスタイルだ。
インテリアは少々装飾過多である。特にインスツルメンツ・パネルのデザインは、言葉は悪いが、出来の良い(?)パチンコ台のようだ。こう言うクルマこそ、全てをシンプルにした方が、永く乗るであろうユーザーに対して大きな説得力を持つと思うのだが。3年や4年で乗り換えるのであれば、ハイブリッドの恩恵は少なくなってしまう。サイズが適当であることと価格の安さもこの新型インサイトの魅力。
走った感じはホンダ車に共通する固めの足周りと高い剛性感で、なかなかスポーティなもの。フィーリングは初代インサイトよりは重厚感がある。サスペンションが硬過ぎるきらいはあるが、市街地走行ではあまり問題にはならないレベルだ。高回転域のエンジン音や後席のスペースには改善の余地はあるが、総じて、先進的なハイブリッド・セダンに乗っているという満足感は大きい。でも、僕はこの次に登場する2ドアのスポーティ・モデル、『CR-Z』に大きな期待をもっているのだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
おススメ度:★★★★★
川上完|モータージャーナリスト
芸能誌カメラマンを経て、男性誌のクルマリポーターからジャーナリストの道へ。旧いクルマ大好きの変人(?)