アウディは11日、ドイツのアウディミュージアムで「From Horch to Audi」(ホルヒからアウディへ)を開始した。アウディ創業100年を記念した特別展覧会で、貴重な名車が数多く公開される。
アウディはAugust Horch(アウグスト・ホルヒ)氏が設立したホルヒ社が前身。同社は1901年に自動車の生産をスタートする。しかし、技術者としては優秀だったホルヒ氏だが、経営者としては成功したとはいえず、1909年には会社を追われる。
そして、ホルヒ氏はすぐに新会社を設立するが、1910年、旧ホルヒ社からのクレームにより、社名をホルヒからアウディへ変更。これがアウディの生まれた瞬間である。ホルヒとはドイツ語で「聞く」を意味するが、アウディもラテン語の「聞く」を意味することから、アウディという社名に決まったといわれている。
アウディの第1号車は1911年に発表された『アウディタイプA』。2.6リットル4気筒エンジン(22ps)を搭載し、ボディは4ドアオープンの「スポーツフェートン」と呼ばれるタイプだった。当時は右ハンドル車だったことも特筆できる。チェコのプラハ国立技術博物館に収蔵されている同車が、今回の特別展のためにアウディに貸し出された。
もう1台、今回の特別展で要注目のモデルが1935年式『アウディ225フロントスペシャルロードスター』。生産台数わずか2台という超希少車で、第2次世界大戦後の混乱期に行方不明となっていた。2台のうち、1台のシャシーが発見。アウディがこれを買い取り、コーチビルダーのZinke社と共同で、当時の写真や資料を基に美しいロードスターが復元された。今回の特別展が、同車の初公開の舞台となる。
ほかにも、1913年式『アウディタイプE』や1923年式『アウディタイプM』など、アウディの創成期を彩った13台の名車を展示。この特別展は7月16日まで開催される。
今年はアウディ、ブガッティ、モーガンなどが創立100年を迎える。「ブランドは1日にして成らず」を実感させてくれるメモリアルイヤーである。