1台5200万円…上野中央通り地下駐車場

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1台5200万円…上野中央通り地下駐車場
1台5200万円…上野中央通り地下駐車場 全 2 枚 拡大写真

東京都台東区上野2丁目から4丁目にかけての「上野中央通り地下歩道」(都市計画名称:台東歩行者専用道第三号線)と「上野中央通り地下駐車場」は東京都と台東区が事業者となり、総事業費は約263億円をかけて整備された。

15日には駐車場内特設会場で記念式典が催された。道家孝行東京都建設局長、吉住弘台東区長に加え、国交省、地元選出代議士、地元住民代表ら約250人が集まった。挨拶にたった出席者のほとんどのが口にしたのは、工期の長さだった。

上野地区の整備案が浮上したのは1986年のことだ。地元商店街などが協議会を発足させ、上野恩賜公園にある不忍池の蓮池の地下に駐車場を建設し、その案が自然保護運動で中止に追い込まれた。その後、現在の場所への建設が決まってからも、2層200台収容の駐車場を3層300台駐車場に設計変更。2000年にようやく準備工事に入った。

駐車場整備は、路上駐車による交通渋滞を解消するなど交通環境の向上を目指していたが、周辺住民にとっては駐車車両が工事現場に置き換わっただけで、道路は9年間も占有され続けた。台東区にはしばしば住民の苦情が寄せられている。

地下駐車場の工費は地下鉄銀座線直下の難工事で、約156億円に膨らんだ。乗用車1台の駐車に5200万円のコストをかけた計算だ。1時間600円の駐車料金では、約10年間1分の空きもなく満車状態が続かなければ、初期投資さえ回収することはできない。

景気の悪化による駐車場利用の落ち込みも、新たな住民の負担になりかねない。「今年は毎月前月比割れが続いている」(ある駐車場管理会社)という中で、利用者を伸ばしていくのは至難の業だ。

長期間の工事は環境も一辺させた。道交法改正で違法駐車状況はほぼ解消した。現状で駐車場難民と化しているのは大型オートバイの利用者だ。その整備に振り向けられるのは、この地下駐車場の乗用車1台分ほどだ。

地元選出の保坂三蔵前参議院議員は、この整備事業の立ち上げに尽力した一人だが楽観的ではない。

「難工事は予想されたが、それでも長かった。住民提案型の事業で地元にとって有意義なインフラ整備だが、こうした整備が今後も高コストでやっていけるかどうか。おそらく全国でも最後となるだろう」

《中島みなみ》

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