【池原照雄の単眼複眼】「環境車補助金」はルールづくりを急ごう

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【池原照雄の単眼複眼】「環境車補助金」はルールづくりを急ごう
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減免税に次ぐ強力な追加対策

政府・与党の追加経済対策に盛り込まれた環境対応車購入への補助金は、大幅減産が続く自動車各社の生産水準を足元で相当回復させることになろう。ただ、政府、業界とも初めての制度なので予想外の事態も発生しかねない。早急に補助金支給の「ルール」づくりが必要だ。

補助金制度は自動車業界にとって、すでに今月初めから実施されている環境対応車への減免税措置に次ぐ、まさに「追加対策」となった。この2つの刺激策によって、政府は今年度100万台の需要上乗せ効果を想定している。

新たな制度は、燃費など一定の環境性能を満たす車を購入する際、乗用車の場合で5万円から25万円(トラック・バスは20万 - 180万円)の補助金が支給される。このうち、車齢(新車登録からの年数)が13年を超える古い車両を廃車にして新車に買い換える場合、最大の補助金となる。

◆「補助金ビジネス」には歯止め必要

自動車業界が最も懸念していた制度導入までの「買い控え」についても、追加経済対策が発表された4月10日からの遡及適用となった。つまり、関係法令の施行を前に販売された車両にも適用するというものだ。

直ぐにでも販売店は活況に包まれそうだが、少し時間はかかる。制度の詳細が決まらない段階では、ディーラーも顧客に迂闊なことは言えないからだ。例えば、13年超のクルマを廃車にして新車に買い換える際の補助金支給には、一定期間保有したという縛りがかけられることになる。

でないと、実際には価値のない13年超の中古車をタダ同然で調達し、25万円(登録乗用車の場合)の補助金を得たうえで新車を転売するというビジネスが成り立ってしまう。少なくとも1年程度は保有していたというユーザーを対象にしなければならない。

◆買い替え予定の人は急いだほうが無難

また、販売会社による自社登録(届け出)での補助金受領にも何らかの制限が必要となろう。制度はあくまでも一般ユーザーに環境対応車への買い替え、あるいは新規購入を支援するもの。

だが、これを商機と徘徊する輩が出ることには備えねばならない。まんまと悪用されるようでは、税金の無駄遣いということになる。

一方、補助金制度の予算は約3700億円となっている。これを使い切った時点で終了ということになるが、その消化具合が国民に適時分かるような工夫も必要だ。あてにしていたが、結局補助金枠に間に合わなかったというケースも終盤には出そうだ。

少なくとも新車で購入して13年が経過するなど、確実に補助金対象となるユーザーで近々に買い替える意思のある人は、ディーラーに急いだ方が無難だろう。

《池原照雄》

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