上海汽車(SAIC)は20日、上海モーターショーで『MG6コンセプト』を初公開した。2008年に発表した『栄威(ROEWE)550』をベースに開発されたMGブランド久々の新型車である。
BMWが2000年にローバーブランドを売却して以降、同ブランドは業界再編の波に飲まれた。BMWから同ブランドをわずか10ポンド(当時の日本円で約1660円)で獲得したのは英国の投資家集団、フェニックスコンソーシアム。同年、MGローバーとして再出発する。
しかし、MGローバー車は基本設計の古さに起因する商品力不足が否めず、販売は低迷。2005年には上海汽車との業務提携交渉が決裂し、MGローバーは事実上、破綻した。同年、南京汽車がMGローバーの経営権を取得。MGローバーとの提携に失敗した上海汽車は、ローバー75の商標権と製造ラインを買い取り、中国で2006年から栄威750として、生産と販売を開始した。
ところが、2007年12月、上海汽車は南京汽車を買収。結局、MGローバーブランドは上海汽車の一部門になるという皮肉な結果となった。しかし、南京汽車もブランド自体は存続しており、中国では南京汽車が『MGTF』(旧『MGF』)、『MG7』(旧ローバー『75』)、『MG3SW』(旧ローバー『200』)を販売中。英国では南京汽車の子会社、MGUKが、MGTFの販売を担当している。
今回、上海汽車が公開したMG6コンセプトは、上海汽車が自社開発し、2008年に発表した栄威550がベースとなっている。
MG6コンセプトのボディは4ドアセダンに見えるが、実はテールゲートを備えた5ドアハッチバック。往年のMG車を思わせるアグレッシブなデザインのスポーツセダンである。
エンジンはローバーの「K型」をリファインした1.8リットル直4ガソリンで、最大出力は130psと160psの2種類。トランスミッションはMTとATが用意される。
MG6コンセプトは、ほぼこのままのスタイルで2010年に中国や欧州へ投入される。中国では南京汽車ブランドから、英国では引き続き南京汽車の子会社、MGUKからリリースされるもようだ。
MG6はMGブランドにとって、久しぶりの新型車だけに、英国を中心にしたファンの期待は高そう。それだけに、衝突安全面などの基本性能が低ければ、ファンを失望させることにもなりかねない。2010年の正式デビューまでに、そのあたりをしっかり煮詰めてほしいところだ。