新日本石油は、「燃料によるHCCI(予混合圧縮自己着火)エンジンの運転性能改善に関する研究」をテーマとした論文により、日産自動車と共同で自動車技術会(JSAE)「論文賞」を受賞した。
論文賞は自動車技術に関する学術論文の中で特に優れたものに与えられる賞で、新日本石油では3度目の受賞となった。HCCI燃焼研究分野では2006年度に続く2度目の受賞となる。
HCCIエンジンは、NOx(窒素酸化物)とCO2の削減と燃費の向上を同時に図ることができる次世代の環境対応型エンジンだが、混合気が均質であるため、シリンダ内で着火が同時に起こり、過大なエンジン騒音につながる高周波振動(ノッキング)を発生させることから、高負荷でのHCCIエンジンの実用化は難しいとされていた。
今回受賞した論文では、着火特性(着火のし易さ)の異なる炭化水素を組み合わせた燃料を用いることで、時間差をつけて燃焼させる「二段階高温酸化反応」という新しい燃焼方式を開発、高負荷でのHCCIエンジンの運転に成功した。今回の受賞は、燃料を構成する炭化水素の組成によって高温酸化反応の進行をコントロールできることを示したことが高く評価された。