【BMW 5シリーズ 試乗】進化を重ね完成度に磨きをかけた…萩原秀輝

試乗記 国産車
【BMW 5シリーズ 試乗】進化を重ね完成度に磨きをかけた…萩原秀輝
【BMW 5シリーズ 試乗】進化を重ね完成度に磨きをかけた…萩原秀輝 全 7 枚 拡大写真

アッパーミドルクラスのサルーンと言えば、どのブランドでもコンサバな存在になりがちだ。だが、BMW『5シリーズ』は違う。フロントマスクからして、その目つきは猛禽類の鋭さを感じさせ『3シリーズ』よりもアグレッシブな印象がある。  

さらに、5シリーズはBMWが持つ最先端のテクノロジーをフルに投入したイノベーションを感じさせるモデルでもある。たとえば、ボディはAピラーよりも前をアルミニウム製とし、後は(Aピラーを含む)スチール製となるハイブリッド構造を採用。前側を軽量化することで、大排気量エンジンを搭載しても前後重量配分の最適化を実現している。  

ステアリングには、ギア比を低速域ではクイックに、中速域まではその状態を維持し、高速域になるほどスローに連続可変制御する機能(アクティブ・ステアリング)が組み合わされている。アクティブ・ステアリングにより、車庫入れなどの極低速域ではステアリング操作がラクになる。山岳路を駆けぬけるような中速域では、ステアリング操作に対して小気味よい応答性が得られる。長距離を走り続けるような高速域では、ステアリング操作に対する応答性が穏やかになるので安心感が際立ってくるのだ。  

さらに、サスペンションにはスタビライザーの強さを連続可変制御し、コーナーリング中にボディのロールを抑え直進時の快適性を向上させるダイナミック・ドライブを用意。また、タイヤがパンクをして空気圧がゼロになっても走行の継続が可能なランフラット・システム・コンポーネンツも標準装備する。  

しかも、5シリーズはそうした最先端のテクノロジーを投入しただけではなく、継続的に進化させている点でも注目できる。アルミニウム製のボディにありがちな、突っ張ったような振動の伝わり方を改善。アクティブ・ステアリングも、機能を維持しつつ自然な反応を示すようになっている。サスペンションの動きがしなやかになりタイヤも進化したため、デビュー当時に感じた接地感の硬さとも無縁でいられる。  

もちろん、エンジンはどの仕様を選んでもアクセル操作に対して即応し、音と吹き上がり感によって官能を刺激するような特性を備えている。このように、5シリーズはデビュー以来6年目に突入しているが、進化を重ね完成度に磨きをかけた最新モデルは現在でも競合モデルに対抗できるだけの魅力を備えている。  

■5つ星評価 
パッケージング:★★★★★ 
インテリア/居住性:★★★★ 
パワーソース:★★★★★ 
フットワーク:★★★★ 
オススメ度:★★★★  

萩原秀輝|モータージャーナリスト 
学生時代より自動車誌にてスタッフを経験、卒業と同時にレポーターになる。評価にあたってはアラ探しをするのではなく「乗る人の利益を前提にそれがどう満たされているかを見出す」ことを重視。また、確かな走行理論を基に各種の安全運転教育の講師を務め、これまでの受講者は累計で10000人を越える。最近は、6月に発刊されるプレミアム系SUVの専門誌のスーパーバイザーを務め、取材作業に忙殺されている。

《萩原秀輝》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 狭い道! 制限1.9mだが何かがおかしい…東京都小金井市
  2. ポルシェ、新型『911カップ』発表…520馬力にパワーアップ
  3. 4億円オーバーのV12エンジン搭載「完全アナログ」なハイパーカー登場!
  4. かつてのマーチ、新型日産『マイクラ』英国発売に、SNSでは「英国は小型車の価値を知ってる」「日本でも売りゃいい」の声
  5. 新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに日本上陸!…新型車ベスト5 2025年上期
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る