【ドイツ ミドルクラスセダン徹底比較】ドイツ・プレミアムの魅力をデザインから…千葉匠

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【ドイツ ミドルクラスセダン徹底比較】ドイツ・プレミアムの魅力をデザインから…千葉匠
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BMW『5シリーズ』、メルセデス・ベンツ『Eクラス』、そしてアウディ『A6』。それぞれの技術的方向性が異なっているように、そのデザインフィロソフィもまた、三者三様である。フロントマスク/エクステリア/インテリアの3点から、各ブランドの特徴を分析する。カーデザインジャーナリスト千葉匠氏による特別寄稿。

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◆顔作りに見る3ブランドの違い

ドイツのプレミアム・ブランドは「顔」を持つ。フロントを見るだけで遠目にもすぐにそれとわかるのは、一貫性のあるデザインのおかげだ。変わり映えを求めがちな日本車にはなかなか真似できないのが、この一貫性。そこがジャーマン・プレミアムの魅力のひとつでもあるだろう。しかし、もちろんただ同じ顔を繰り返しているわけではなく、一貫性の持たせ方には各社の作戦の違いが見てとれる。

■伝統を守りつつ、シャープかつスポーティに…BMW『5シリーズ』

「キドニー・グリル」は言うまでもなくお馴染み。近年は縦横比が扁平になり、丸みが強まるなど時代と共にそのカタチも徐々に変化してきたが、同時代のBMWを見ればどれもグリル形状はほぼ同じだ。キドニー型だからBMWの「駆け抜ける歓び」を表現できるというわけではなく、これはあくまでブランドの目印。しかし非常に強力な目印である。

一方、ヘッドランプの輪郭形状は車種ごとに違うが、そのなかに丸いレンズや反射鏡を置くことで、これも長年の伝統である丸型ランプのイメージを守っている。現行5シリーズ=E60型の場合はロービームとハイビームをそれぞれ丸いリングで囲んで伝統を強調しつつ、リングをかすめるように上瞼(あるいは睫毛?)を配して眼付きの鋭さを演出。「猛禽類の眼」をイメージしながら、丸型の伝統をシャープでスポーティな眼付きへと進化させたデザインだ。以後の現行『3シリーズ』や新型『Z4』、新型『7シリーズ』なども、ランプの輪郭形状は少しずつ異なるが、同様の眼付きで揃えている。

■タイプに応じてグリルを使い分け…メルセデス・ベンツ『Eクラス』

メルセデスにとってもグリルは伝統のデザイン。80年代に長方形から逆台形へと徐々に変わったが、センターで軽く折った立体感あるグリルをボンネット・バルジの先にグリルをグッと押し出すのは不変の法則だ。ただしグリル・パターンは2つに大別される。ひとつは3 - 4本の横線とセンターの縦線を組み合わせ、スリーポインテッドスターをグリルの上に立てるもの。これが言わば主流派で、もうひとつはスリーポインテッドスターをグリル中央に置く「SLグリル」だ。車種によりグリル・パターンを使い分けるのは、BMWにはない考え方である。

新型Eクラス・セダン=W212型は当然、主流派のグリル。『Cクラス』ではアバンギャルド系にSLグリルを採用したが、Eクラスはセダンに主流派、クーペ(日本未導入)にSLグリルという使い分けだ。興味深いことに、セダンのグリルの横線は3本。先代は4本(現行Sクラスも4本)だったが、歴史を振り返ると実は3本こそが本流だ。Eクラスで言えば60年代のW110型から先々代のW210型まで3本だった。新型の3本線には原点回帰の志向が窺われる。

ヘッドランプは異形角型の独立4灯式。W210型から先代W211型に受け継がれた楕円独立4灯式をモダナイズしたデザインだ。もともとW210型で採用した楕円ランプはダイナミックさを意図したもので、それが好評だったためメルセデスは同様のランプをスポーツ系車種(SLR/SL/SLK/CL/CLK)に展開。しかし最近はスポーツ系車種群のキャラクター表現はSLグリルに比重が移っており、そのぶんヘッドランプ形状の自由度が増えた。だからEクラスも楕円ランプにとどまっている必要がなくなったわけだ。

■シングルからダブルへ、時系列的な一貫性を踏まえたデザイン…アウディ『A6』

フロントの一貫性が最も強いのがアウディである。大きな「シングルフレームグリル」はもちろん強力な目印だが、その外側に横長矩形のヘッドランプとサイドインテークを配する点も各車共通。しかも最近のA6のマイナーチェンジでは、ヘッドランプにLEDのアクセサリーランプを組み込み、バンパー下端線をサイドインテークに沿って一段下げるなど、現行『A4』/『A5』と同じ手法を採用した。「顔」を作る文法はひとつ、という意志の強さはBMWをも超えるほどだ。

シングルフレーム・グリルは『A8』の12気筒版で最初に登場したが、実際には現行A6を開発するなかで考案されたもの。それ以前はバンパーを挟んで上下にグリルがある「ダブル・グリル」がアウディの目印で、そのダブルをひとつの枠で括ったからシングルフレームと呼ぶ。個性強烈だがけっして突然変異ではなく、時系列的な一貫性を踏まえたデザインだということも特筆しておきたい。

なおグリルのパターンは横線基調が基本だが、スポーツ系のSシリーズは格子、オールロードは縦線基調。キャラクターの違いを控え目ながらもグリルに表現している。

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《千葉匠》

千葉匠

千葉匠|デザインジャーナリスト デザインの視点でクルマを斬るジャーナリスト。1954年生まれ。千葉大学工業意匠学科卒業。商用車のデザイナー、カーデザイン専門誌の編集次長を経て88年末よりフリー。「千葉匠」はペンネームで、本名は有元正存(ありもと・まさつぐ)。日本自動車ジャーナリスト協会=AJAJ会員。日本ファッション協会主催のオートカラーアウォードでは審査委員長を務めた。

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