【ドイツ ミドルクラスセダン徹底比較】ドイツ・プレミアムの魅力をデザインから…千葉匠

自動車 ニューモデル 新型車
【ドイツ ミドルクラスセダン徹底比較】ドイツ・プレミアムの魅力をデザインから…千葉匠
【ドイツ ミドルクラスセダン徹底比較】ドイツ・プレミアムの魅力をデザインから…千葉匠 全 22 枚 拡大写真

インテリアの「らしさ」は?

長い時間を過ごすインテリアだから、そのデザインにもこだわりたい。装備や質感だけではプレミアム度は測れないもの。乗り手を満足させる個性はあるか? ブランドイメージはどう表現されているのか? インパネを中心に3車を比較していこう。

【画像全22枚】

■ボリュームは大きいが重々しくない…BMW 5シリーズ

先代7シリーズ=E65型などと同様に、メーターとナビ画面それぞれにフードを設けた「ダブル・フード」がこのインパネの特徴のひとつ。ただしナビ・フードのラインが助手席側に滑らかなカーブで延びていくのは、E65型との大きな違いだ。それと呼応するように、センターのオーディオの下からもカーブしたラインが左右に広がる。どちらのラインもドアトリムには連続せず、インパネ両端で止まる点にも注目したい。

これは「フローイング・ライン&フローティング・サーフェス」をテーマに、流れるようなラインでインパネを括り、あたかもそれ全体が宙に浮いているように見せたデザイン。フローイングの動きで優雅なダイナミズムを醸し出し、フローティングで軽快なスポーティさを表現している。大画面ナビを含めてインパネの絶対的なボリュームは大きいが、けっして重々しくないところがBMWらしい。

なお、フローイング・ラインはドアトリムやコンソールにも及んでおり、室内全体の統一感をもたらしている。コンソールのフローイング・ラインがドライバーの手を自然にi-Driveに誘うというのも、見逃せない美点だ。

■広さと安心感を提供する機能的デザイン…メルセデス・Eクラス

Eクラスのインパネも2つのバイザーを備えるが、5シリーズより一体感を持たせており、ナビ・バイザーやその下のエアベントにかなりシャープなラインを使う点も対照的だ。

じっと眺めていると、ナビ画面を囲む角張ったバイザーは異形角型ヘッドランプを彷彿とさせ、逆台形(もしくは五角形)のエアベントはフロントグリルを連想させる。そう言えばCクラスではボンネットの中央を走る折れ線の仮想延長線として、センタークラスターの中央にシャープな折れ線を配した。表現は違うが、エクステリアとインテリアに何か一貫性を持たせよういう意図はEクラスも同じ。その結果、こういうシャープなカタチが生まれたわけである。

インパネとドアトリムを連続的な形状としたのはA6と同様だが、A6がインパネ全体がドアにラウンドしていくのに対し、Eクラスは主としてロワー部(加飾より下)でラウンド感を表現。スポーティさはA6より弱いとはいえ、アッパー部で空間の広がりを見せつつ、ロワー部で安心感を提供するのは巧いデザインだ。広さ感も安心感もデザインが表現すべき大事な機能であり、その意味でメルセデスらしい機能的デザインの伝統を宿すインテリアと言えるだろう。

■コクピット・スタイルは伝統として根付くか…アウディ A6

A6のインパネはメーターとセンタークラスターを逆L字型に一体化した、いわゆるコクピット・スタイル。かなりトラッドな印象だが、ナビ画面を見やすい高さに置きつつダブル・フードにせずにシンプルにまとめるには、こういう逆L字型がリーズナブルなのだろう。ただ、70年代から90年代までBMWが長く使い続けたスタイルでもあるだけに、ブランド表現としてはいささか疑問だ。

しかしどうやら、これは確信犯(?)らしい。「技術による進化」を標榜し、いつも新技術の話題に事欠かないアウディだが、デザインは新しさばかりを追求しているわけではない。

エクステリアの「シングルフレーム・グリル」は戦前のアウトウニオンをひとつのモチーフに生まれた。クーペのA5はかつてのクアトロからブリスターフェンダーと台形リヤピラーを引用し、モダンに解釈し直したデザイン。A4は後ろ下がりのキャラクターラインで、古典的なエレガンスを表現している。

進化のなかに回顧を織り混ぜるのが最近のアウディ・デザインの手法。A6に続いて、A4/A5もコクピット・スタイルのインパネを採用したことを見ても、それは明らかだ。しかしこの路線をどう評価すべきか? コクピット・スタイルがアウディの伝統として定着するには、まだ長い歳月がかかると思うのだが……。

千葉匠│デザインジャーナリスト
1954年東京生まれ。千葉大学で工業デザインを専攻。商用車メーカーのデザイナー、カーデザイン専門誌の編集部を経て88年からフリーのデザインジャーナリスト。COTY選考委員、Auto Color Award 審査委員長、東海大学非常勤講師、AJAJ理事。

  1. «
  2. 1
  3. 2
  4. 3

《千葉匠》

千葉匠

千葉匠|デザインジャーナリスト デザインの視点でクルマを斬るジャーナリスト。1954年生まれ。千葉大学工業意匠学科卒業。商用車のデザイナー、カーデザイン専門誌の編集次長を経て88年末よりフリー。「千葉匠」はペンネームで、本名は有元正存(ありもと・まさつぐ)。日本自動車ジャーナリスト協会=AJAJ会員。日本ファッション協会主催のオートカラーアウォードでは審査委員長を務めた。

+ 続きを読む

ピックアップ

レスポンス公式TikTok

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 世界一背が低い4ドア車として登場した、初代『カリーナED』【懐かしのカーカタログ】
  2. マツダの新型「FRスポーツ」開発始動! 特許公開、次期ロードスターかアイコニックSPか?
  3. 『エブリイワゴン』のロール感を抑えて乗り心地アップ、ブリッツの車高調キット「DAMPER ZZ-R」発売
  4. 【スズキ エブリイワゴン 新型試乗】快適性がさらにアップ、走りも“頼り甲斐のある”実用ワゴン…島崎七生人
  5. トヨタ『プロボックス』ついに全面刷新か? 見えてきた次期型の進化
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 自動運転開発の分野で高まるNVIDIAとAWSの存在感、日本メーカーは中国のスピード感に対抗できるのか【AWS オートモーティブ AI イノベーション フォーラム】
  2. 居眠り・脇見を監視、「DMS」を義務化…乗用車は2031年から、バス・トラックではすでに普及
  3. ホンダの交換式電池、建設現場で実証…高さ385mの「トーチタワー」
  4. 電動車は誰が最後まで面倒を見るのか…KPMGコンサルティング プリンシパル 轟木光 氏[インタビュー]
  5. BYD12万人の技術力と日本市場への本気度、補助金逆風下「ラッコ」の戦略とは…BYD Auto Japan 東福寺厚樹 代表取締役社長[インタビュー]
ランキングをもっと見る