日産『スカイラインクロスオーバー』は、スムーズな操作性と、しなやかな乗り心地をバランスさせたという。「地を捉え、宙を駆ける」とするデザインが目指すとおり、フラットな乗り心地が再現されている。
スカイラインクロスオーバーでは、ヒップポイントの地上高を610mmとクーペと比較して115mm高く設定。また、前席乗員配置を16mm前方(クーペ比)、後席もアップライトに設定することで32mm前方に、合計で48mmのスペースを確保。ホイールベースを50mm短縮(クーペ比)し、最小回転半径は5.5mとしている。これらのパッケージングにより、見晴らしよさによる快適性と取廻し性能を確保している。
実際に室内は、フロント席での着座姿勢は、アップライトなポジションとなりコンパクトカーに乗っているような感覚となる。しかし、腰から上は空間は、高級車にある空間が再現され、無駄がなく包まれ感がある。
乗り心地に関しては、足を固めたスポーツカーなどでは路面からの入力に驚いて緊張感を迫られるものだが、低速域から高速域まで緊張感を迫られることはない、車体のロールに関しても、S字のコーナーでステアリングを左、右と回すような場面でも、車体の揺り返しで不安を感じることはなかった。
また、高速道路などに見られる継ぎ目でのショックや、舗装の乱れた路面などでの振動は、スカイライン兄弟のなかでは一番しなやかにこなしていて、速度感を感じることなく走れてしまう。ただし、クーペやセダンと比べれば絶対的な運動性能の限界領域は低いところにあるので、過信は禁物だ。
メインとなるターゲットは子育てを卒業した世代としていて、運転は主に男性となるようだが、夫婦のどちらが運転しても扱いやすいよう、女性も意識した乗り心地といえる。“ネコ足”とは言わないが、ネコ科に属しているのは間違いない。
SUVとクーペの融合というだけに後席スペースは必要最小限といった感じ、ステーションワゴンの『ステージア』がラインナップから消えて久しいが、それに変わる新種と捉えればいいのかもしれない。あとは“珍獣”で終わらないためにも次世代への提案が欲しいところ。