レクサス初のハイブリッド専用車という触れ込みで、それ自体は価値のあることだが、外観デザインはあまりにもコンサバな4ドアセダンにすぎない。ハイブリッド専用であることと同時に、ひと目でハイブリッドであることが分かる先進的なデザインも求められている。
アメリカ向けトヨタ『カムリハイブリッド』のシステムを移植した『HS250h』の走りは、いかにもハイブリッドらしい静かさと力強さを感じさせる。静粛性もレクサスが重きを置く価値のひとつだが、それをみごとに体現している点で、HSはレクサスブランド車らしいクルマといえる。
タイヤは17インチ仕様と18インチ仕様があり、足回りも標準仕様と硬めのチューンを施した仕様とがあるが、どちらもそれぞれに良くできている。個人的には18インチタイヤを履いたバージョン「S」の味付けが好みだが、オプションで18インチを履いたバージョン「L」もまた良かった。バージョンSも含めて乗り心地がスポイルされていないからだ。
セダンボディながら後席の居住性は平均レベルにとどまり、トランク容量も電池の制約を受けている。 400万円を切る価格はレクサスブランド車のエントリーモデルとなるが、かなり高い。エコカー免税の対象車とはいえ、欲しいオプションを装着していくと500万円級の予算が必要になるからだ。この点でお勧め度をやや割り引くことにする。
●5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★
松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。