【VW シロッコ 試乗】“かっこいいスタイリングだけ”仕様が欲しい…水野誠志朗

試乗記 国産車
【VW シロッコ 試乗】“かっこいいスタイリングだけ”仕様が欲しい…水野誠志朗
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なんといっても、まず誉めるべきはその素晴らしきスタイリングだ。

初代VW『シロッコ』は『ゴルフ』ベースとは思えぬ流麗さで当時大人気を博したが、新型シロッコもきちんと4座を確保しながら美しいクーペであり、かつ、かつてのホンダ『アコードエアロデッキ』や今のボルボ『C30』にも通じるスポーツワゴン的な乗り物となっている。

日本メーカーのマーケティングからはまず出てこないタイプのクルマと言っていいだろう。加えて、環境面に配慮した小排気量エンジンと過給器、DSGを組み合わせたパワートレインも素晴らしい。

シャシー性能はゴルフと比べると、ちょっとばかりレベルの高いもので、つまり通常の速度域ではなく、もうちょっと高いレベルで走り込まないとシロッコならではの楽しさは体感できないと思う。もちろんスポーツカーという類のものではないが、ハイペースで走ることを求められるクルマだ。

つまりシロッコはそのスタイリング通り、走りにおいてもちょっとスペシャルな、ちょっとハイレベルなモデルと言える。逆に言えばスタイリングのかっこよさだけで買うと、やや過剰な性能とも言えるかも。

であるならば「かっこいいスタイリングだけが欲しい」というニーズに応じた仕様も欲しいところ。試乗車の場合、同じエンジンのゴルフより80万円高く、標準装備となるHDDナビの分を考慮しても、約50万円高い。しかしドイツにある1.4リットルのターボ仕様をベースに、ナビもオプションかPNDとして装備を簡素化し、もう少し価格を下げれば、相当な競争力が出てくるはず。こちらでも走りは十分のはずだ。

クルマを環境性能だけでしか見ないような昨今の日本市場では、カッコいいクルマ、個性的なクルマは、今後もなかなか出てこないだろうが、幸い輸入車にはシロッコのようなカッコいいクルマがある。あとはもう一つ割安感があれば、このご時世でも購入意欲は十分かき立てられるはずだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

水野誠志朗|自動車ライター
97年に新車試乗記を中心とするウェブマガジン「MOTOR DAYS」を立ち上げ、以来毎週試乗記をアップし、現在550台を超える試乗記を公開。「クルマはやがてはロボットになる」として、走りだけでなく利便性・安全・エコの面から新たなクルマのあり方を提言している。名古屋市在住。

《水野誠志朗@DAYS》

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