ANAグループがオートクレーブを導入…保守・修理に

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ANAグループがオートクレーブを導入…保守・修理に
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全日空(ANA)は17日、東京・羽田空港に隣接するANAコンポーネントメンテナンスビル内で、ANA保有航空機の部品の修理や再生などを手掛けるANAワークスの目玉装置となる、オートクレーブ供用開始のセレモニーを実施した。

オートクレーブ(autoclave)は、“圧力釜”により高圧と高温をかけて、2つ以上の異なる物質や素材を“固着、接着”し、新たな機能をもつ製品をつくる工法・装置である。自動車レースF1マシンの、カーボンファイバー強化樹脂部品の生成に使われる技術として、耳にしたことがあるかもしれない。

ANAでは従来、保有機のメンテナンスや修理は、エンジンメーカーや機体メーカーの関係修理部門など、国内外の企業に外注していた。しかし安全飛行が絶対条件であるユーザー、航空会社として行動すべく、部品修理やメンテナンスを自ら行う、ANAワークスを設立・稼動させている。スタッフ150人。

オートクレーブの導入は、旅客機の機体部分にあって重要な、エンジンや飛行に欠かせない部品について、1個から、高品質な部品を再生、再利用しようというものである。

近年、燃料費の抑制や環境への配慮から機体軽量化のニーズが高まり、従来の機体構造部品であるアルミ合金よりも強度があり、軽量な複合材料が多用される傾向にある。とくに次世代旅客機として注目され、複合材料を機体全体に採用するボーイング社の「B787」型機の第1号機を導入するANAグループとして、それに対応するメンテナンスやアフターフォローの必要性も出て来ている。

そこで素材や材質の異なる複合材料を用いる部品の、円滑で質感のある修理や供給態勢を整える、オートクレーブの採用となった。

内部に大人が十分に立てるスペース(内径3.2m×内部奥行き3.5m)のオートクレーブは、複合材料を高温・高圧で圧着と硬化させる“加圧式オーブン”である。作動時の最大圧は6.6気圧、最高使用温度は約180度。費用は1億5000万円という。当座は、機体の先端にあるレドームや、エンジン部分に使用されるスラストリバーサー部品の修理に用いられる。

ANAワークス大島秀夫社長は、「オートクレーブの設置をはじめ、機体メンテナンスセンターの整備により、外部発注していた部品の修理が、使用する現場に最も近い弊社で行われるようになった」と語る。

この装置の導入と運用にはタイヤメーカーである横浜ゴムが協力した。横浜ゴムはタイヤメーカーであるとともに、航空分野でも部品の製造やメンテナンスを手掛けている。

《浜田拓郎》

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