フォードは27日、小型SUVの『エスケープ』を生産するカンザスシティ工場と、大型ピックアップトラックの『F-150』を生産するディアボーン工場の生産台数を、今秋にかけて増やすと発表した。
米国では7月下旬から8月24日まで実施された「CARS」(カー・アローワンス・リベート・システム)の効果で、新車需要が急回復。CARSは米国版スクラップインセンティブのことで、旧車(1984年式以降で燃費は7.6km/リットル以下)から一定の燃費基準を満たした新車に代替する際に、政府が下取り車と引き換えに最大4500ドル(約43万円)分の金券を支給する内容だった。
このCARSには1か月間で、約70万件もの申し込みが殺到。米国政府の30億ドル(約2850億円)の予算は瞬く間に底を突いたことから、米国政府は24日、早々と制度を打ち切った。
今回のフォードの増産は、このCARSの効果を受けたもの。小型SUVのエスケープとその兄弟車、マーキュリー『マリナー』を生産するカンザスシティ工場では、すでに8月前半から残業で対処してきたが、9月後半から10月にかけて、3シフト制を導入。合計2400台を増産する。
また、ディアボーン工場では、9月後半から一時帰休中の従業員約2800名を復帰させ、大型ピックアップトラックのF-150を約1万台増産する。
エスケープ(ハイブリッド含む)は、7月の米国新車販売において、2万0241台をセールスし、2000年の発売以来、月間記録としては3番目の好成績をマークした。2009年1 - 7月の米国における小型SUV分野での市場シェアは16%と、前年同期比で2.3ポイント上昇している。
GMも8月18日、カナダ・オンタリオ州のCAMI(GMとスズキの合弁工場)と米国オハイオ州のローズタウン工場で増産体制を取り、中型SUVのシボレー『エクイノックス』とGMC『テレイン』、シボレー『コバルト』の生産台数を増やすと発表。CARS効果による増産は、停滞が続く米国メーカーにとって、久々の明るいニュースとなったようだ。