ルノーの最高級車『ヴェルサーティス』が2009年末までに生産を終了する。フランスの一部メディアが、生産拠点であるサンドウヴィル工場の発表としてこのほど伝えた。
ヴェルサティスは、まず1998年に3ドアのコンセプトカーとして登場。量産型は2001年3月、従来の『サフラン』の後継モデルとしてデビューした。05年にラジエターグリルおよびテールランプのデザイン変更などのマイナーチェンジが施されて、現在に至っている。
「Vel Satis」とはフランス語のVelocite(速さ)とSatisfaction(満足感)にちなんだ合成語である。
ヴェルサーティスの全長×全幅×全高は4860×1860×1575mm。現在、フランス市場向けには、2リットル・ガソリン170馬力と2リットル・ディーゼル150/175馬力がある。装備グレードは2種類設定されている。
当初ヴェルサティスは、ドイツ勢が強い欧州高級車市場で、ルノーのシェア挽回の切り札として期待された。だが、実際には主にフランス国内の公用車および一部のカンパニーカーとしての需要にとどまった。
フランス国内で09年第2四半期に販売されたヴェルサティスは339台で、前年同期の636台を下回っている。他の市場では、すでにルノーのラインナップから落とされている地域もある。
ルノーは01年にも従来のカテゴリーにとらわれない大型3ドア車『アヴァンタイム』を市場に投入したが、僅か2年後の03年に生産中止した経緯がある。
しかし保守的なデザインが好まれる高級車市場に、敢えて挑戦的なスタイルの生産車種を敢えて次々と投入したルノーの姿勢は評価すべきであろう。また、それらの高級モデルで定着したルノーの先進的デザインイメージが、2代目『メガーヌ』の成功に繋がったとみることもできる。
ちなみに、それらのデザインを指揮したデザイン担当副社長のパトリック・ルケモンが10月末に退職するのは、偶然とはいえ象徴的である。