ひと目見ただけで端的に“カッコイイ”。『XC60』に対しての第一印象がそれだ。インテリアの仕上がりもソツなく若々しい。
現在のボルボ・ラインナップの中にあっては、最も多くの人に「ちょっと乗ってみたいかも」と思わせるのがこのモデルであるはず。
全幅が1.9m近くもあるモデルを“コンパクト”と紹介する事はボクにはとても出来ないが、全長が4.6m少々というのは確かに日本でも駐車枠からはみ出ないサイズではあるはず。一方で、いざUターンというシーンになって教えられる5.8mという大きな最小回転半径はやはりツライもの。これは、直列6気筒エンジンを横置きというボルボならではのメカニカルレイアウトの、日常での最も大きな代償……。
フットワーク/ハンドリングに関しては正直特別大きな感動はないものの、このモデルで実感できる「自然に操れる」という感覚は良くできた実用モデルとして重要なポイントだ。
そんなこのモデルが、例の低速時追突回避システム「シティ・セーフティ」を標準装備して599万円から手に入れられるのはかなりのお値打ちと思える。しかし、惜しむらくはやはり標準装備とされるナビゲーション・システムの使い勝手が極端に悪い事。
日本製の本体を標準仕様のディスプレイに接続させた点は高く評価したい一方、それゆえにタッチパネルが生きておらず、操作は全てボタン式の小さなリモコンに頼らなければならないのがとても残念。しかも、そのリモコンはコンソールBOXの中に転がされているというプレミアム・モデルには有るまじき状況。下手をすると、もうそれだけでショールームまで来てくれたお客さんを逃してしまいそう……。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
河村康彦|モータージャーナリスト
1985年よりフリーランス活動を開始。自動車専門誌を中心に健筆を振るっているモータージャーナリスト。ワールド・カーオブザイヤー選考委員、インターナショナル・エンジンオブザイヤー選考委員。