【池原照雄の単眼複眼】顧客底辺拡大も…ホンダの「ルート情報」オープン

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◆「フローティングカー」で自信の精度

ホンダがドライブルート情報の提供で思い切ったオープン化に踏み切った。13日から「Hondaドライブコンシェル」という携帯電話向けサービスを有料で開始したもので、一部のホンダ車ユーザーによる「インターナビ・プレミアムクラブ」会員以外でも利用できる。

同社のルート情報は、「フローティングカーシステム」による蓄積などで精度への評価が高く、他メーカーのクルマに乗るユーザーからも支持が得られそうだ。このコンテンツビジネスにより、本業での顧客拡大という相乗効果も期待できる。

情報提供するのは、昨年9月から高級車など一部車種に搭載されたカーナビゲーション向けに開発した「インターナビ・ルート」という機能。その中核となるのは、ドライブ当日の出発推奨時刻とルートを事前に予測する「出発時刻アドバイザー」という情報サービスだ。

ルートは利用者のニーズによって4つの項目から選択して検索することができる。4項目は、(1)所要時間とコスト(有料道路料金)のバランスを取った「スマートルート」、(2)所要時間優先の「最速ルート」または「最速一般道優先ルート」、(3)ETCの割引が最も受けられる「ETC割引ルート」、(4)燃費優先の「省燃費ルート」—であり、選択肢が広い。


◆当初はドコモだが、auとソフトバンクも

ホンダは今年7月から、この情報提供を同社のインターナビ・プレミアムクラブ会員(9月末で97万人)を対象に携帯電話向けパーソナルホームページでのサービス(無料)として開始していた。今回は有料だが、同クラブ非会員にも同様のサービスを提供する。

料金は月額157円(初月度無料)。13日からはNTTドコモの iモード公式サイトのみでの利用となる(FOMA端末の「90X」、「70X」シリーズ以降)。プレミアムクラブ会員は、すでにauとソフトバンクの携帯利用者も使えるようになっている。ホンダはドコモ以外の展開も「検討中」(広報部)としており、近いうちに実現しそうだ。

携帯を使ったルート情報提供にはすでにさまざまなサービスがあるが、ホンダのルート情報はプレミアムクラブ会員の走行データを元にしたフローティングカー情報の活用が精度向上の武器となっている。


◆快適なドライブを楽しんでいただきたい

このシステムは、会員による実際の走行データを蓄積して渋滞の予測などに活用するもので、同社が2003年から自動車メーカーとしては世界で初めて導入している。走行による蓄積データは昨年8月時点で4億5000kmに達している。

今回の「Hondaドライブコンシェル」では、リアルタイムの情報取得をサポートするため、目的地方面の「VICS」交通情報の検索や、あらかじめ設定した日時に同情報をメールで受け取ることができる機能も付けている。

ホンダは「一般の方々にも広く活用してもらい、快適なドライブを楽しんでいただきたい」(広報部)と、ドライブコンシェル開始の狙いを説明している。

ルート検索が秀逸だから他社のクルマからホンダ車に乗り替え—という具合には簡単にはいかないだろう。だが、ソフト面での「ホンダの実力」を他社ユーザーに認知してもらうことは、ホンダファンの掘り起こしにはつながる。

《池原照雄》

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