【COTY09-10 選考コメント】“電動元年”にふさわしい…家村浩明

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大賞:トヨタ・プリウス
大賞:トヨタ・プリウス 全 3 枚 拡大写真

イヤーカーの採点・配点で、私は『プリウス』にフルマーク(10点)を与えた。理由は、見事なる成熟と、そして現状に甘えることのない、あくなき開発スピリットの発揮であった。

【画像全3枚】

3世代にわたって、独自のハイブリッド・システムを継続的かつヴィヴィッドに育てつづけてきたという事実は重要で、このスタンスと持続性に、まずはエールを送る。このモデルは、世代が変わるごとに、システムや新機構など、必ず何かを新しく提案してきた。

プリウスという存在そのものが、実は、既存の自動車世界にとっては「提案」なのだが、にもかかわらず、あるいはそれ故に、チャレンジングな姿勢を崩すことなく、クルマの「新しい動かし方」(パワーソースが複数ある)を探りつづけている。そしてこの3代目では、走行性能が格段に充実した。

HVという新提案が受け入れられ、いわばアタリマエになってしまった以上、クルマとして、もっと成熟させたいということなのかもしれない。この新型は、スポーティカーとしての“モノサシ”を仮に当てても、その期待に応える俊足ぶりと安定したハンドリングを示す。個人的には、ちょっとヨーロッパ・テイストに振りすぎているとも感ずるが(低速域での乗り心地はしなやかではない)、しかし、クルマとしての成熟というのが作り手の意図だったとすれば、そのテーマに対しての達成度は非常に高いと評せる。

2009年はついにピュアEVである『i-MiEV』が市販され、“電動元年”ともいえる年となったが、その意味からも、EVベースのハイブリッドであるプリウスは「2009年」にふさわしいとも思う。

家村浩明|ライター&自動車ジャーナリスト
1947年、長崎生まれ。クルマは“時代を映す鏡”として興味深いというのが持論で、歴史や新型車、モータースポーツとその関心は広い。市販車では、近年の「パッケージング」の変化に大いに注目。日本メーカーが日常使用のための自動車について、そのカタチ、人とクルマの関わりや“接触面”を新しくして、世界に提案していると捉えている。著書に『自動車コラム大全1984〜1989』、『最速GT-R物語』、『プリウスという夢』(以上、双葉社)、『ル・マンへ……』など。

《家村浩明》

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