【MINI コンバーチブル &VW ニュービートル カブリオレ 比較試乗】オープンカーは可愛さ命…岩貞るみこ

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岩貞るみこ
岩貞るみこ 全 24 枚 拡大写真

21世紀自動車産業のなかでは異質

幌をあけてたたずむ二台のクルマ。『MINIコンバーチブル』と、『ニュービートルカブリオレ』。たたんだ屋根を無骨に背負っちゃって、誤差ナシ製造技術を駆使する21世紀自動車産業のなかでは、妙に異質にみえる。運転席に座れば、幌がかさばって後方確認が劣るし、走らせてみればサイドウィンドウを立てたってやたら風が巻き込んで、巻き込み防止のついたてがいまや標準装備のその他大勢のオープンカーたちなど、知らないもんね状態である。

だけど、かわいい。なんたってオープンカーはかわいさが命だと思う。もともとのデザインに色気と愛嬌のないクルマは、オープンにする価値すらないが、この2台のユニークな存在感はトップ当選という感じだ。

◆オープンで輝きを増すMINIのインテリア

そしてインテリア。MINIの唯我独尊超特大スピードメータは、コンバーチブルになると(周囲に見せびらかせると)さらに輝きを増す。撮影車両で用意されたホット・チョコレート色にミルク色のスティッチがきいたシートも、乗っている人のセンスをひきたてる。思わずのぞきこまれる快感こそ、オープンの醍醐味だといえる。

一方のビートル。シートやインパネはコンサバ感が抜けないけれど、外観デザインからそのままつながるようなインテリアの仕立ては秀逸。ハンドルわきに設けられた一輪挿しの花瓶は、環境も考える自然派ドライバーを演出するにはもってこいだろう。

オリジナルの愛嬌あるデザイン。幌を背負った不器用な余裕と、かわいいインテリア。二台はぱっと見、同じ印象があるけれど、いざ乗ってみるとそのキャラは大きく異なる。居住性では車格が上になるビートルがどうしても勝る。大人四人がしっかり乗れるうえ、フロントウィンドーがねているぶん、ダッシュボードが異常なほど広く、これが広さ感をさらに倍増している。これに対し、MINIの後部座席は足もとが窮屈である。背の高い男性が運転する場合、後部座席はそうとう厳しいことを覚悟しておきたい。

◆走りのバリエーションを楽しみたい人にお勧めのMINI

そして走り。MINIのコンパクトなボディできゅっと走る元気のよさは、カブリオレになっても健在である。ちょっと硬めのサスペンション。ホイールベースの短さもあって、ぽこぽことした走りだが、これが逆に気分をアップさせてくれる。6ATでするすると加速していく洗練された乗り心地。

シフトレバーをMTモードに倒して、ギアを自分で選択すると、外の景色の流れ方や風の動きまで自分でコントロールしているような自由な気分が味わえる。 MINIコンバーチブルの場合は、フルオープンだけでなく運転席の頭上部分だけちょこっと幌を開けられて、攻めるとき&流すときの使い分けが自在にでき、走りのバリエーションを楽しみたい人にお勧めだ。

◆ゆったり仕様のビートル

かたやビートル、こちらはゆったり仕様である。運転席に座ってちょっと走りだせば、自分のなかにあるトゲトゲな闘争心が抜かれ、気づけば口元がゆるんでいるというキャラクター。ドイツ車は質実剛健、精密機械。ベースはなんたってゴルフIVだし、その基本の乗りやすさはたしかにあるし、ラテンなクルマのヤバさとは違う。

でも、サスペンションも加速感も、やっぱりいいゆるさがあるのである。MTモードもあるけれど、シフトレバーに手をのばす気にもならないおおらかさ。ビートルにはDSGなんてつけず、このままATのゆるさを残しておいてもらいたいものだ。このクルマに乗るときは、ぜひ笑顔標準装備でお願いしたい。

《岩貞るみこ》

岩貞るみこ

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家 イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。2024年6月に最新刊「こちら、沖縄美ら海水族館 動物健康管理室。」を上梓(すべて講談社)。

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