【メルセデスベンツ C250CGI 試乗】意識改革が必要なのは…岡本幸一郎

試乗記 輸入車
C250CGIステーションワゴン
C250CGIステーションワゴン 全 4 枚 拡大写真

当初の『C250』は、Cクラスながら6気筒がリーズナブルに選べるというのがウリで、「C200」や「C300」が右ハンドルのみの設定なのに、C250は左ハンドルも選べるようになっていた。

たとえば『Sクラス』あたりとの複数所有で、これまで左ハンドル車を乗り継いできた富裕層の足グルマとして、左ハンドルを選びたいというユーザーをもカバーするのがC250だった。

そのC250が、名称は同じまま、1.8リットル直4直噴ターボユニットが搭載された。また、こちらが右ハンドルのみの設定となったかわりに、今ではC300で左ハンドルが選べるようになった。このほうがユーザーの志向の実情に合っていると思う。ただし、C250CGIにアバンギャルドしか設定されていないのは、やや片手落ちの印象もなくはないが。

C250CGIについて、同じく1.8リットルの排気量を持ちコンプレッサー(スーパーチャージャー)を備えるエンジンを積むC200との対比も気になるところだが、価格は C200アバンギャルドより75万円も高いものの、「コンフォートパッケージ」(17万円)に相当する装備が標準で付くなど、250CGIはそれなりに充実している。

エンジンスペックは、最高出力で15kW(20ps)、最大トルクは60Nm(6.1kgm)と大きく上回る。しかもピークトルクの発生回転数が、C200では2800-5000rpmだったところ、C250CGIでは、2000-4300rpmと、グッと低くなっているところもポイントだ。 10・15モード燃費も、まったく同じ11.2km/リットルとなっている。

走り味は、上記のスペックからする期待にそぐわぬ実力を持つ。4気筒としては世界屈指のスムーズさを持ち、ターボラグをまったく感じさせず、低回転域から力強くわきあがるトルク感を持つ。出来は上々だ。ゆくゆくは1.8リットルコンプレッサーの設定がなくなり、1.8リットル直噴ターボのこのエンジンがメルセデスのサルーンのボトムレンジを受け持っていくようになるとみて間違いないだろう。

しかし、筆者はC250について、Cクラスでも6気筒の重厚な響きが味わえ、そして左ハンドルの設定があることに魅力を感じていたクチなので、完成度や燃費のよさではCGIは大いに魅力的だが、従来のC250に未練を感じてしまう部分もある。

ちなみに、今のメルセデスが、イグニッションをOFFにするたびに、次の運転モードが必ず燃費重視のCモードから始まるようになったのも、ちょっとおせっかいな気もしている。意識改革が必要なのは筆者のほうであることは、自分でもわかっているのだが……。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

岡本幸一郎|モータージャーナリスト
1968年富山県生まれ。学習院大学卒業後、自動車メディアの世界へ。自動車情報ビデオマガジン、自動車専門誌の記者を経て、フリーランスとして活動を開始。最新モデルからヒストリックカー、カスタマイズ事情からモータースポーツ、軽自動車から輸入高級車まで、幅広い守備範囲を自負する。現在はウェブ媒体を中心に執筆中。「プロのクルマ好き」としての見地から、読者にとって役に立つ情報を提供できるよう心がけている。

《岡本幸一郎》

岡本幸一郎

1968年、富山県生まれ。学習院大学を卒業後、自動車情報映像の制作や自動車専門誌の編集に携わったのち、フリーランスのモータージャーナリストとして活動。幅広く市販車の最新事情を網羅するとともに、これまでプライベートでもスポーツカーと高級セダンを中心に25台の愛車を乗り継いできた経験を活かし、ユーザー目線に立った視点をモットーに多方面に鋭意執筆中。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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