クライスラーの「歴史絵巻」CM、その意図は?

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クライスラーは新年から「Coming home」と題した1分間の企業キャンペーンCMを放映開始した。冒頭のシーンは1930年代と思われる米国。

トラベルバッグを提げた紳士が登場し、1934年に画期的な流線型を採り入れて話題となった『エアフロー』に乗って郊外へと出発する。

ところが運転しているうちに、車は初期のジープに変わっている。引き続き、車はオリジナルの『300』、ミニバン『ボイジャー』などへと変わってゆく。紳士のファッションも、時代に応じて変化してゆく。そして夕刻、彼が家に帰る頃には、車は2010年型「300」セダンになっている、というストーリーだ。 

ただし、紳士のバッグは変わっていない。クライスラーの説明によれば、歴史が繋がっていることと、傘下の全ブランドが今も健在であることを示したものという。

挿入歌のタイトルは「優しい性格」で、「長い旅も、険しい旅も共に……」といったナレーションが重なる。

クライスラーといえば昨2009年は連邦破産法が適用され、フィアットから20%の出資を仰いだことが記憶に新しい。

今回のCMはディーラーからの要望と、いまだ多くの人々はクライスラーが生まれ変わったことを知らないでいるという調査結果に基づいて発案された。実際の制作は、長年クライスラーの広告代理店として実績のあるファロン社が担当した。

クライスラーの新しいマーケティング部長で、伊ランチア・オートモビルズのCEOも兼ねるオリビエ・フランソワは、「私たちは、過去と未来の顧客、そしてサプライヤーや協力者に、私たち(クライスラー)がここにいることを知らしめたい。そして、彼らの信頼と私の名誉を取り戻すことを(このCMに)託している」とコメントしている。

実はフィアットも、年末から本国イタリアで「偉大なフィアット」と題し、創業時から今日に至るフィルムをピックアップした企業CMを放映している。大西洋をまたいで、フィアット-クライスラー連合が、いずれも新年に“ノスタルジーもの”を放映したかたちだ。

だが今年が生き残りの正念場となるかもしれない自動車業界において、この“懐メロ”作戦が正攻法かどうかは疑問が残る。アップルやグーグルが、創業時からの回顧プロモーションを流した話は聞かない。クライスラーやフィアットのイメージ戦略が正しかったどうかは、近い将来答えが出るだろう。

《大矢アキオ Akio Lorenzo OYA》

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