トヨタ プリウス、ブレーキに“空走感”を感じたら

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「踏めばとまります」と説明する横山裕行常務役員(撮影:中島みなみ)
「踏めばとまります」と説明する横山裕行常務役員(撮影:中島みなみ) 全 2 枚 拡大写真
トヨタ自動車は、新型『プリウス』が、ある条件のもとでブレーキを操作した場合、ユーザーに空走感を抱かせる現象があることを4日、明らかにした。この現象が、安全に関わる問題なのか、それとも佐々木副社長がいう“フィーリング”なのかは、同社と国土交通省で調査中だが、もし新型プリウスユーザーがこうした状況に遭遇した場合は調査中ではすまない。どうすればよいのか。

品質保証を担当する横山裕行常務役員は、新型プリウスで起きているブレーキの空走感は「一定の踏力で軽いブレーキングを続けた場合、路面の状況によっては、ブレーキの反応がわずかに遅れるという現象」と説明する。

この空走感が生じる恐れがあるのは、例えば、路面が濡れたり、凍結したりして片輪だけ回転数が変わるような場合に、ABS(アンチロックブレーキシステム)が作動した時だ。この瞬間、プリウスでは、回生ブレーキが油圧ブレーキに切り替わる。

横山氏は、「雪道などでガガガッと車輪が動く経験などでご存知だと思いますが、ABSは車輪のロックを防止するために、ブレーキを一時的に緩めるという機能を持っている。この時(新型プリウスは)回生ブレーキを油圧ブレーキに切り換わった時に時間差が生じる。そこでいろいろなお客様からご指摘をいただいているのが”空走感”。短時間ブレーキが利かなくなることがある」と説明した。

回生ブレーキとは、ハイブリッド車や電気自動車(HV/EV)特有の装置で、加速に用いる電気モーターを逆回転させることで減速させると同時に、発電をする仕組みだ。ガソリン車でいうエンジンブレーキとほぼ同じで、下り坂や、ごく緩いブレーキングのときに作動するものだ。ところが、そうした緩やかなブレーキングでわずかにスピードを制御している場合に、先のような条件でABSが作動すると、その車輪制御のためにメリハリのある大きな力を必要とするため油圧ブレーキに切り換えなければならない。このわずかな切替時間が空走感につながるというものだ。

しかし、ユーザーにとっては、いくら瞬間のことであっても、予測がはずれてスピードが落ちなければ運転中のパニックにつながる。誰もがこのくらいのブレーキングであればこのぐらいスピードが落ちるという予測のもとに運転しているからだ。

その対処法として横山氏が説明したのは「踏み増す」という行為だ。運転中に空走感を感じるということが起きても、ブレーキペダルをより多く踏み込めば、その踏力に比例してより大きな減速を見込むことができる。

当然と言えば当然なのだが、新型プリウスの空走感は、ブレーキそのものが利かないという現象ではなく、切替のタイミングの問題だ。だからこそ横山氏は「踏めばきちっと止まります。そういう意味で制動停止距離は伸びるということはありません」と、30分ほどの説明の中で、幾度も繰り返した。

《中島みなみ》

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