【池原照雄の単眼複眼】知らなかった!! トヨタのエアバッグ装備方針転換

自動車 テクノロジー 安全
SRSサイドエアバッグとSRSカーテンシールドエアバッグ (前後席)搭載車
SRSサイドエアバッグとSRSカーテンシールドエアバッグ (前後席)搭載車 全 5 枚 拡大写真

新型『パッソ』はサイドエアバッグなどオプションに

トヨタ自動車のコンパクトカー『パッソ』が15日全面改良した。リコール問題に配慮して東京で予定されていた発表会は急きょ取り止めと、開発スタッフには気の毒な展開になった。筆者も仕方なくウェブ上でパッソのリリースを見ていたが、あるところで眼が止まった。SRSサイドエアバッグと同カーテンシールドエアバッグがすべてオプション設定となっていたのだ。

トヨタは2007年7月のいわゆる「年央会見」で渡辺捷昭社長(現副会長)が、日本で販売する乗用車を対象にサイドとカーテンシールドの両エアバッグについて、標準装備する方針を明らかにした。同年7月23日付で、「サイドエアバッグおよびカーテンシールドエアバッグの全車標準装備を発表」と題したリリースも配布している。

◆08年末の『パッソセッテ』から‥‥

同年7月以降、新モデルへの切り替えを機に順次標準装備するというのが渡辺社長の説明だった。ところが、今回の新型パッソについては全車に「メーカーオプション」となった。注文時のオプション装備であり、「標準装備」ではない。

トヨタに問い合わせると、実は08年12月に発表された3列シートミニバンの『パッソセッテ』も最安値グレードのみについてはメーカーオプションとなっていたのだという。

当時のリリースを読み返すと確かにそう書いてある。気づかなかった筆者は間抜けだが、パッソセッテの発表会では、全車標準装備を取りやめたことについて、特段の説明はなかったように記憶している。

◆顧客が選択可能な設定にした

今回のパッソで両エアバッグがメーカーオプションとなったことについて、トヨタは「競合車の動向や、より求めやすい価格を希望するお客様のご意向などから、選択可能な設定にした」と説明する。確かに、顧客のなかには両エアバッグはなくていいから、安くしてほしいというニーズがあるはずだ。

とくにパッソは、トヨタの国内販売車では最も低価格のエントリーカーであるから、選択肢を置いたほうが顧客は有難いかもしれない。だが、07年7月のリリース発表からは、明らかな方針転換となる。「全車標準装備」が発表された時、それを実現しうるコスト競争力と安全に対する方針に「さすが」と感心したものだった。

顧客のさまざまなニーズに応えるために方針を修正するのは悪くないし、「顧客目線」からは妥当かもしれない。だが、こと安全装備に関することだし、こういう時だからこそ、親切な説明があってしかるべきだと思う。

《池原照雄》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. トランプ関税に「ジタバタしない」姿勢のトヨタも、米国市場で7月1日から値上げ[新聞ウォッチ]
  2. BEVを2年間所有した、“リアルな”ランニングコストを大公開
  3. 新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』が日本導入…6月の新型車ランキング
  4. クーペSUVに進化! アルファロメオ『ステルヴィオ』次期型を完全プレビュー
  5. トヨタ車体、『アルファード』『ヴェルファイア』をトヨタ自動車に生産移管、いなべ工場は商用車専用に
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  2. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  3. 中国EV「XPENG」、電動SUV2車種を改良…新電池は12分で80%充電可能
  4. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  5. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
ランキングをもっと見る