【トヨタリコール考】イベントデータレコーダ…こもだきよし

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アメリカ人のおばちゃんが、ブレーキを踏んでいたのに100マイル/h(160km/h)まで急加速したと証言した。その話を聞いたとき、「そんなバカな! きっとアクセルペダルをブレーキペダルと間違えて踏んでいたんだろう」というのがボクの感想だ。

本人はブレーキペダルを踏んでいるつもりだから、クルマが加速していくともっと踏み込む。するとますます急加速になってしまう。

いくらボクがおばちゃんに「アクセルペダルを踏んでいたのではないですか?」と聞いても「いえ私はブレーキペダルを踏んでいました!」と答えるから話は前に進まない。

そんなときのためにあるのがイベント・データ・レコーダ(EDR)だ。コンピュータ制御しているからそのデータを残しているわけで、それをあとから読み取れる。映像がないだけで、かなり詳しいデータが取れる。最近のクルマにはだいぶ普及してきた。クルマは米道路交通安全局(NHTSA)が買い取っているという話だが、このEDRのデータを読み取ればすぐに判る話だ。

でも……、と思うのは、160km/hまで達するのに20秒くらいは掛かっていると思う。もし本当にブレーキを踏んでいたら減速していくか、ブレーキ踏力が弱くても加速力は相当鈍るか、少なくとも160km/hまでにもっと時間が掛かるわけだから、その間にエンジンを切るとかATのセレクターをNにするとか、何らかの対処ができなかっただろうか。この機会に、自分がその立場になったときには何ができるかを考えておくのもいいだろう。

トヨタがブレーキを優先するブレーキ・オーバー・ライドという装置を今後のクルマに付けると言っているが、間違ってアクセルペダルを間違って踏んでいる人にはこれは効かない。市販されているアト付けの「踏み間違い防止装置」の方が有効だと思う。

こもだきよし|モータージャーナリスト/日本自動車ジャーナリスト協会副会長
学生時代から始めたレースをきっかけに、タイヤのテストドライバーになり、その後フリーランスのモータージャーナリストに転身。クルマが好きというより運転が好きなので、その視点でクルマの評価をしている。日本自動車ジャーナリスト協会副会長、JAF交通安全委員会委員、警察庁(交通企画課/運転免許課)各種懇談会委員、グッドパーキング選考委員、全国道路標識・標示業協会理事、BMWドライバー・トレーニング・チーフインストラクターなどの肩書を持つ。

《こもだきよし》

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