クルマに情報性能を。このコンセプトで、本格的なテレマティクスとしてインターナビ・プレミアムクラブ(以降、インターナビ)がスタートしたのが、2002年のこと。それから8年余り。インターナビはホンダのカーナビを魅力的にし、"情報"でドライバーを支援するテレマティクスとして発展してきた。
しかし、インターナビが大きな課題を抱え続けていたのも事実だ。それは「接続率」である。インターナビの魅力である数々のサービスはサーバーが提供するものであり、ユーザーが携帯電話や専用データカードなど"通信手段を用意しないと使えない"ことは、インターナビのアキレス腱であり続けた。
そして2010年。インターナビは通信費無料の「リンクアップフリー」をスタートする。ウィルコムの通信モジュールを使い、基本料・通信料無料でインターナビが利用できるのだ。リンクアップフリーはなぜ導入できたのか。そして、これによりインターナビはどう変わるのか。インターナビ推進室室長の今井武氏に話を聞いた。
◆リンクアップフリーの本当の狙い
----:インターナビは昨年末に100万人の大台を突破しましたね。
今井:今は105万人です。着実に会員数は伸びています。
----:今回のリンクアップフリーはサーバーとの接続率向上を目指すものですが、実際のところ、現在のインターナビの接続率はどの程度なのでしょうか。
今井:詳しくは申し上げられないのですが、車種によってけっこう違いがあることは確かです。例えば、インサイトはエコ支援サービスの効果か、あの車格にしては高い接続率になっています。しかしホンダ全体で見れば接続率は3割に届かず、「これほどよいサービスを提供しているのだから、もっとサーバーにつないでもらいたい」という悩みがずっとありました。
----:今井さんは携帯キャリアに「Bluetooth機能の標準搭載化」を求めたり、接続率をあげるための取り組みをされてきました。しかし、接続率はなかなか上がらなかった。
今井:そうですね。以前に比べれば、テレマティクスを取りまく通信の環境はずっとよくなっていると思います。Bluetooth機能搭載の携帯電話は増えましたし、ソフトバンクモバイルの「カーナビプラン」(携帯のパケット定額サービスに月額使用料210円を追加するとカーナビ接続が定額になる)が発表されるなど状況はよくなっています。ですから今回、リンクアップフリーを投入したのは、接続率向上という狙いはもちろんあるのですけれども、それ以外にもっと大きな理由があるのです。
----:それは何でしょうか。
今井:インサイトから始めたエコアシストです。つまり、燃費向上効果ですね。