【カーマルチメディア・インサイダー】無料接続は正義のため・・・ホンダ今井 武インターナビ事業室長

自動車 テクノロジー ITS
ホンダインターナビ事業室長 今井武 氏
ホンダインターナビ事業室長 今井武 氏 全 18 枚 拡大写真

◆テレマティクスで10%の燃費向上
 
----:エコがリンクアップフリー実現を後押しした、と。
 
今井:エコアシストを利用すると、実用燃費が平均10%向上する。これが証明されたのです。インサイトでエコアシスト機能を用いているオーナー 5000人の半年間の実用燃費を調査したところ、平均燃費が向上していました。

エコアシストを用いて、エコドライブをしっかりやると燃費に効く。インターナビでは渋滞を回避するルートを的確に出すことによって、これも燃費が上がる。両機能によりインターナビは実用燃費向上に約10%貢献するということが、改めて証明できました。
 
----:今までも渋滞回避が燃費向上に役立つとは言われてきましたが、エコアシストによって、もっと直接的に、その効果が見えるようになった。
 
今井:通信モジュールの標準搭載自体は前々から私の夢だったのですが、これまでは端末コストや通信コストの課題がありました。高級車に標準搭載している他社(レクサス)と違い、我々はインサイトやフィットといったクラスにまで搭載していきたいと考えていましたから。ですから、「標準搭載化する」と決断ができたのは実は最近なんですよ。
 
----:具体的にはいつ頃でしょうか。

今井:9か月前ですね。インサイトが発売されて、エコアシストなどインターナビによる実用燃費向上効果がはっきりと見えたタイミングです。このデータがでたことで、開発を担当する社内のメンバーから「だったら、通信を標準装備にしようじゃないか」という声があがりました。

----:もともとテレマティクスの理想として今井さんは通信機能を標準搭載したいと考えていた。そこにインサイトで実用燃費向上に効くというデータがでたことで、スポーティにエコを楽しみたいCR-Zでのリンクアップフリー実現になったのですね。

今井:そうです。インサイトというステップがあったからこそ、リンクアップフリーを実現することができました。つまり最初はビジネスモデルありきではなかったのです。とりあえずは正規ディーラーでの車検を通信料永年無料にする事でCRM的な効果が見込めるという営業判断をすることができ、開発と営業の両方から「やってみようじゃないか」という声がそろって今回のリンクアップフリーが実現したのです。
 
----:エコアシスト以外に、インターナビはずっとフローティングカーをはじめとした高精度渋滞情報や渋滞回避のサービスを行ってきました。今後、通信機能の標準搭載と通信費無料での展開がはじまると、ここへの影響も大きそうです。
 
今井:そうですね。(通信機能が標準搭載でない)今でも東京など都市部では、1トリップあたりの渋滞予測はほぼ正確になっています。予測誤差では1分もないくらいでしょう。過去データの蓄積統計や渋滞予測など今のフローティングカーでも、そこまではできています。これまでそういったアルゴリズムの開発やノウハウの蓄積をしてきたわけですね。

しかし、事故が起きたり、急に豪雨が降り出したり、さらにETC割引みたいに、道路環境の大きな変化に対応するには、リアルタイム情報がもっと欲しい。今後、通信機能が標準化されますとリアルタイム情報の取得が今まで以上に増えますので、道路情報の精度が一気に上がります。
 
----:逆説的に言えば、これまでのインターナビはリアルタイム渋滞情報はある程度少なくても、蓄積統計や予測の部分でそれを補って高精度な渋滞情報サービスを提供してきた。だからこそ、これから先は、より精度を上げるためにリアルタイム情報の分野に踏み込まなければならないわけですね。
 
今井:あと、渋滞以外では、防災・減災といった観点でも、リアルタイムのフローティング情報は重要になります。通信機能の標準搭載で常時接続(実際には5分ごとの情報取得)になれば、インターナビ・ウェザー防災情報の確度や精度があがります。こういった点でも、やはり通信機能の標準搭載には踏みださなければならない時期にきていたのです。

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《神尾寿》

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