ハイテク広告看板はドライバーに危険

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『ニューヨークタイムス』3月1日付け電子版が、「近年急速に普及してきたデジタル表示方式を採用した路肩広告看板は、ドライバーにとって危険である」と警告を発している。

記事によれば、「この種の広告看板は6 - 8秒ごとに内容を変更出来ることなどから、広告効果が高く、早朝の無料コーヒーサービスの告知や、ランチタイムにチーズバーガーの広告を流すことなどで効果を得ている」という。

これら広告看板は現時点でもアニメーションを使用しない静止画広告のみとなっているが、それでも「テレビに釘付けになるのと同様の危険がある」と指摘されている。

記事ではデジタル広告看板を排除する活動を行っている非営利団体『ミシガンの景観』のアビー・ダート氏のコメントを引用。「この種の看板は『大量虐殺兵器』であり、携帯電話や車内の装備品よりも危険である」「携帯電話はスイッチを切ることが出来るが、広告は必ず注意を引いてしまう」と、氏の指摘を紹介している。

また「ミシガンでは既に同種の広告看板の既成の法令化を目指しており、他の州でも追随する動きが見られる。FHA(連邦道路局)はこの分野での調査を行っており夏頃には結果が出る」という。

現在米国では45万枚の路肩看板があり、そのうち2000枚ほどがデジタル化されているに過ぎないが、今後その比率は「15%程度にまで拡大する」ものと期待されている。またこの種の看板は一つの広告看板を複数の企業で共有出来るので、「1000ドルから5000ドルほど」と言われている広告掲出料金の引き下げを可能とし、出稿側にも媒体側にもメリットが生じる。

一方その危険性については疑問もあり、「ヴァージニア工科大の交通工学研究所が車載カメラを使用してテストしたところ、往来型の看板との差異は認められなかった」とする一方、「規制以上の明るさの看板もあることから、今後の調査継続の必要性がある」と指摘した。

「この分野の米国最大手クリヤ・チャンネル社は『この種のデジタル広告はクライアントの要望に柔軟に対応出来るため広告効果が高い』とし、今後も増大させる計画」という。同社による「危険は特にはない」との反論も掲載している。

また「FBIなどの公的機関もデジタル看板を利用しており、犯罪捜査に有用な役割を果たしている」とされており、ハイテク看板の効果を認めながらも、「ダート氏はそのようなメリットよりもドライバーの気が散ることのデメリットが大きいと主張。昨年12月にはミシガン州下院はデジタル看板の制限を可決。今後も注意深く作業を進める」と相反する立場の見解をそれぞれ掲載している。

《NYCOARA, Inc. 田中秀憲》

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