【ホンダ CR-Z 発表】MTの燃費は運転技術・スタイルで差

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CR-Z βグレード
CR-Z βグレード 全 4 枚 拡大写真

エコとスポーティの両立を目指したホンダの新型ハイブリッドクーペ『CR-Z』。能力はミニマムだがシステム重量が軽いというホンダのハイブリッドシステム「IMA」の特性を生かし、車両重量は1130kg(6速MT)と、普通車のハイブリッドカーとしては極めて軽量に仕上がっている。そのCR-Zを横浜近郊で試乗する機会を得た。

CVT車の試乗直後、同じコースをベーシックグレード「β(ベータ)」の6速MTで走ってみた。こちらはカーナビを除けばアルミホイールも装着されない、まさに“スッピン仕様”だったが、ドライブしてみると、内外装の仕立てや足回りについてはほとんどグレード差がないためか、不満はまったく感じられない。

6速MTは10・15モード燃費が22.5km/リットルと、CVTの25km/リットルに比べて1割ほど低下するが、「MTは計測時に2000rpm台半ばまで引っ張って変速する義務があるためそういう結果になるだけで、シフトアップ、ダウンのインジケーターに従えば燃費差はない」(本田技術研究所の開発スタッフ)とのこと。

ホンダはかつて、2人乗りの超小型ハイブリッドカー、初代『インサイト』に5速MT車を用意していた。70psの直列3気筒1リットルエンジン+14psモーターは絶対的には非力だったが、運転してみるとモーターパワーがダイレクトに駆動輪に伝えられる感覚が独特で、大変楽しめるクルマだった。CR-ZにそのDNAが継承されているかどうかにも注目しつつ乗った。

果たして、加速感は超軽量の初代インサイトほど個性的ではないものの、ダイレクト感は非常に高く、パラレルハイブリッド+MTがドライビングを面白くする組み合わせであることは十分に感じられた。MT車にもCVTと同様、ECON、NORMAL、SPORTの3モードドライブシステムが装備されるが、特に加速時にモーターアシストを目一杯効かせ、普段はエンジンパワーをかなり積極的に発電にも使うSPORTモードで走ると、加速は良好。また、スロットルを踏み込んだときにモーターパワーが素早く立ち上がるので、ここ一発のトルクが欲しい瞬間にタイムラグなしに加速するのが気持ちよい。

燃費は高速道路が平均車速85km/hで18.7km/リットル。CVT車に比べて若干下回ったものの、平均車速が若干高く、またローギアで引っ張りつつ気持ちよく加速する局面が多かったわりには健闘したと言える。一般道はCVT車を運転したときより若干混雑しており、平均車速20.8kmで、帰着したときの燃費はトータルで18.4km/リットルに低下した。

ある程度乗り込んでMT車の燃費のスイートスポットを読めば、市街地でのエコランのレベルをもっと上げられそうに感じられたが、MT車は運転技術やドライビングスタイルによって燃費差がより大きく出る傾向がありそうだ。とはいえ、6速MTモデルの運転は純粋に面白く、なかなかお勧めである。ディーラーでMT車の試乗車がある場合、ひるまずドライブしてみるのも一興だ。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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