鉄道の新世紀は誰のために

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『週刊東洋経済』(4月3日号、東洋経済新報社)で「鉄道新世紀」を特集している。“新世紀”での展開の余地は技術革新と海外市場にあるようだが、“現世紀”の鉄道の惨憺たる有様もリポートしている。

とくに地方の鉄道は、並行道路の整備や高速道路1000円により利用者が減少、「JRや沿線の努力だけでは対処できない」。また工業団地の通勤客は、以前は鉄道と送迎バスを乗り継いでいたが「今では、直接マイカーで通う」(竹村高・真岡鉄道取締役)、さらに「少子化とマイカー送迎の普及で通学需要もしぼむ」。

では自力で自動車を運転できない“交通弱者”の足はどうなるのか。JRのローカル線を改装した富山ライトレールでは、利用者の「50歳以上の増加が目立つ」という。しかしライトレールは「富山の次が出ない」ように、課題が多い。

岡山と和歌山で地方鉄道を成功させた両備グループの小嶋光信代表がインタビューで、高速道路を無料化する費用を引き合いに出し、「地方の公共交通再生に投資したほうが、日本の将来にとって有益だ」と訴えている。

日本の鉄道の新世紀は大都市の通勤と、輸出メーカーと、暴走するファンにしか開かれていないことがわかる特集。

《高木啓》

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