【三菱 RVR 試乗】ジェットファイターグリル採用の意味…千葉匠

試乗記 国産車
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RVR 全 10 枚 拡大写真
新型『RVR』のフロントは逆スラントノーズに台形グリル。『ギャラン・フォルティス』や『ランエボX』でお馴染みのこれを、三菱は「ジェットファイターグリル」と呼ぶ。

ひと目で三菱車とわかる顔つきではあるが、それは乗用車に限ってのこと。本格オフローダーの『パジェロ』には使っていない。クロスオーバーSUVはもうちょっと微妙なようで、北米向けの『アウトランダー』は2010年モデルでジェットファイターグリルに変えたが、国内向けのマイナーチェンジには使わなかった。

RVRもクロスオーバーSUVで、プラットフォームはアウトランダーと共通。いわばアウトランダーの弟なのだが、そこにジェットファイターグリルを採用したところに、開発陣のこのクルマへの思いが垣間見える。

試乗して印象的だったのは、手頃なサイズ感と乗り味の穏やかさだ。外観から受けるコンパクトさは、走り始めてもずっと続く。ボディの四隅まで自分の感覚が届くサイズ感だ。1.8リットルエンジンはけっしてパワフルではないけれど、必要にして充分。ただし、キビキビというよりむしろおっとりとしたフットワークを見せる。

アウトランダーの引き締まった乗り味を思い浮かべると、それより小型軽量のRVRにはもっと俊敏さを求めたくもなるのだが、開発陣はあえてその方向を選ばなかった。

とんがった付加価値を主張するのではなく、普通に乗ってじわりと伝わる素性の良さを大切にしたセッティング。言い換えれば、日常使いの乗用車としての価値観に軸足を置いている。だからジェットファイターグリルと、そう考えれば納得だ。バンパーやフェンダーのデザインにはSUV的な力強さが漂うが、新型RVRはあくまで乗用車なのである。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★


千葉匠|デザインジャーナリスト/AJAJ理事
デザインの視点でクルマを斬るジャーナリスト。1954年生まれ。千葉大学工業意匠学科卒業。商用車のデザイナー、カーデザイン専門誌の編集次長を経て 88年末よりフリー。「千葉匠」はペンネームで、本名は有元正存(ありもと・まさつぐ)。日本自動車ジャーナリスト協会=AJAJ理事。日本ファッション協会主催のオートカラーアウォードでは10年前から審査委員長を務めている。

《千葉匠》

千葉匠

千葉匠|デザインジャーナリスト デザインの視点でクルマを斬るジャーナリスト。1954年生まれ。千葉大学工業意匠学科卒業。商用車のデザイナー、カーデザイン専門誌の編集次長を経て88年末よりフリー。「千葉匠」はペンネームで、本名は有元正存(ありもと・まさつぐ)。日本自動車ジャーナリスト協会=AJAJ会員。日本ファッション協会主催のオートカラーアウォードでは11年前から審査委員長を務めている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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