【ベントレー ミュルザンヌ 日本発表】アンテナは邪魔、でどうしたか

自動車 ニューモデル 新型車
ミュルザンヌ
ミュルザンヌ 全 8 枚 拡大写真

3月16日に日本デビューを果たしたベントレー『ミュルザンヌ』。都内で行われた発表会にはベントレー本社デザイン部門のロビン・ペイジ氏が登場し、ミュルザンヌのデザインを説明した。

ペイジ氏はインテリア担当のチーフデザイナーだが、「大小のヘッドランプを組み合わせたフロントのデザインは、1957年の『S1コンチネンタル』をヒントにした」と、エクステリアについても解説。「新しいベントレーをデザインするときはいつも、過去のベントレーのさまざまなディテール写真を収録した“ヘリテージブック”を見返す」のだという。

アルミ製のフロントフェンダーは「シャープエッジを出すために、“スーパーフォーミング”という手法で成形している」。スーパーフォーミングとは加熱して柔らかくしたアルミ板を型に乗せ、真空で引くというもの。樹脂でよくある真空成形をアルミに応用した技術だ。

なるほどフロントコーナーからフェンダーの肩口へつながるラインは非常にシャープ。同じシャープさがリヤフェンダー(鉄板)まで続くが、リヤフェンダーはCピラーの根元あたりでパネルをつないでいるため(もちろん継ぎ目は完璧に仕上げてある)、通常のプレスで成形できるのだという。

そう聞いてあらためてフロントを見れば、フェンダーの稜線が盛り上がり、しかもボンネットの開口線までの奥行きも深いので、とてもプレスでは作れない形状だと気づく。新技術で成形するからこそ実現したデザインなのだ。

ドアやキャビンも鉄板だが、トランクは樹脂製。これは樹脂の成形自由度を狙ったのではなく、「金属では電波を通さないから」とのこと。アンテナをトランクリッドの内側に設置することで、外観からアンテナを排除した。高級車はフィン形状のアンテナを採用する例が多いが、完璧を求めるベントレーのデザイナーにとってはそれも邪魔な要素でしかないというわけである。

《千葉匠》

千葉匠

千葉匠|デザインジャーナリスト デザインの視点でクルマを斬るジャーナリスト。1954年生まれ。千葉大学工業意匠学科卒業。商用車のデザイナー、カーデザイン専門誌の編集次長を経て88年末よりフリー。「千葉匠」はペンネームで、本名は有元正存(ありもと・まさつぐ)。日本自動車ジャーナリスト協会=AJAJ会員。日本ファッション協会主催のオートカラーアウォードでは11年前から審査委員長を務めている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. セリカに次ぐ「リフトバック」採用のカローラは、50年経ってもスタイリッシュ【懐かしのカーカタログ】
  2. ようやくですか! 新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』日本仕様初公開へ…土曜ニュースランキング
  3. トヨタ『ランドクルーザー300』初のハイブリッド登場!実現した「新時代のオフロード性能」とは
  4. 【マツダ CX-60 XD SP 新型試乗】やっぱり素のディーゼルが一番…中村孝仁
  5. シートに座ると自動で送風開始、取り付け簡単「クールカーシート」2モデルが発売
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  2. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  3. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  4. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  5. 「あれはなんだ?」BYDが“軽EV”を作る気になった会長の一言
ランキングをもっと見る