【池原照雄の単眼複眼】「次はHV」とするユーザーが3分の1になった

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自工会の調査で2年間に10ポイント上昇

新モデル投入にエコカー減税・補助金の援軍もあって09年度は、日本でハイブリッド車(HV)が本格普及段階に入った。ユーザーの関心も一気に高まっており、日本自動車工業会の市場動向調査では、次に買い換える際はHVにしたいというユーザーがほぼ3分の1に達していることが分かった。

この調査は自工会が毎年行っている「乗用車市場動向調査」で、このほど09年9 - 10月にかけて実施された09年度の結果がまとめられた(有効回答3926件)。このなかで「買い替え予定車」の動力方式では、ガソリンエンジンが61%と最多になったものの、HVは32%を占めた。

HVは05年度の調査では16%、07年度には22%と上昇していたが、この2年間で10ポイントも増え、3人に1人の割合が買い替えの際の有力候補に挙げていることが明らかになった。また09年度の調査時点で、初めて市販車が登場した電気気動車(EV)は5%となり、全般的に次世代エコカーへの関心が高まっている。

◆HV志向は年収に比例している

買い替え予定車をHVとした回答者の属性を見ると、居住地域では大都市圏が地方都市よりやや多めだったが、地域ごとの差はさほどない。また、年代や家族構成などによるライフステージごとの分析でも、ほぼ万遍なく支持を得ている。

しかし、回答者の年収別による分析では、年収が多くなるに連れてHVを次の買い替え予定車とする比率が増えている。HVは同等の動力性能をもつガソリン車との価格差が小さくなっているものの、まだ「割高」と考えている人が少なくなく、年収の低い層ほど買い替えの対象から外れる傾向となっている。

◆潜在ユーザー獲得にはやはりコスト低減

一方、HVを志向する回答者が購入時に重視するという項目は、単に燃費性能だけでなく、デザインや使い勝手、居住性、安全性など多岐に渡っているという結果になった。

いずれの項目でも、ガソリン車を買い替え予定としている回答者の比率を上回っており、HV志向のユーザーはあらゆる面でクルマへの期待値が高いということになる。単に燃費性能に優れているというだけでは購入の動機にはならない可能性があり、自動車メーカーにとってはHVの価格を引き下げるうえで厳しい課題といえそうだ。

09年度の国内市場で乗用車のHVは約45万2000台となり、乗用車全体(軽自動車含む)の10.8%を占めるに至った。エコカー減税と補助金の後押しが大きかったのは否めないが、コストを引き下げたメーカー側の努力も本格普及へと導いた。3分の1に達した「潜在購入希望者」を実際のHVユーザーとするには、さらにもう一段、コストの低減がカギとなる。

《池原照雄》

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