イタリアのシステムキッチンメーカー「スナイデロ」(Snaidero)社は、ピニンファリーナのプロダクトデザイン部門「ピニンファリーナ・エクストラ」がデザインした新製品を発表した。
発表したのは『Ola20』と『Idea 2010』の2モデルで、4月にミラノで開催された国際キッチン見本市「ユーロクチーナ」で公開した。
Ola20は、白を基調とした清潔感溢れるアイランド型キッチンだ。曲線基調の調理台は、作業スペース全体を優しく包み込むイメージを与えると同時に、人間工学に基づいている。また脚部分には彫刻的な木を用いたデザインが施されている。
Olaシリーズは1991年から続くピニンファリーナ・デザインのシステムキッチンで、初代は1996年にシカゴのアテネウム美術館主催のグッドデザイン賞を受賞した。Ola20はその3代目にあたる。
Idea 2010は、クラシック・モダンを追求。収納棚からシンク、コンロ、調理台に至るまで黒の艶消しアルミニウムを用い、優美さと水平基調を表現した。作業台周辺にはLED照明も施され、素材感を際立たせるのに一役買っている。サイドのダイニングテーブルには、カーブを描いた黒ガラスが用いられている。
ピニンファリーナとスナイデロのパートナー関係は今年で20年を迎え、数は6製品に及んだ。ピニンファリーナ・グループ会長のパオロ・ピニンファリーナは、「ひとつひとつのプロジェクトが貴重な経験となり、次作品の成熟に繋がった」と振り返る。
同時にバオロ会長は伊『レップブリカ』紙のインタビューに対して、「私はレトロ好きではない」と発言。「(3月の)ジュネーブモーターショーで発表したコンセプトカー『デュエトッタンタ』は、往年のアルファロメオ『デュエット』の単なる再現でない。同様に今回のキッチン『Ola20』も、ラインは引き継ぎつつ、革新的に生まれ変わった」とコメントした。
また20年前のキッチンのデザイン作業はほぼ手描きで、作品をスタジオに持ち込んでは定規と鉛筆で修正を重ねたのに対し、「今日はすべてコンピューターを駆使したデザインとなり、今は最終段階でようやく実物が見られるようになった」と、作業プロセスの変遷を語った。このあたりは、過去にピニンファリーナ・エクストラ責任者としての経験が長いパオロならではだ。
ちなみに、パオロ会長自身も料理のたしなみがあるらしい。理由は「独り暮らしが長かったことが幸いし、必要に迫られて覚えた」とのことだ。