CH-Auto(長城華冠)が今回の北京ショーで発表した『天蝎』は、BMWの4.8リットルV8エンジンをフロントミッドに積む2シーター・スポーツのコンセプトカー。
スタイリングはオーソドックスだが、6MTをリヤデフに一体化したトランスアクスル・レイアウトを採用するなど、中身はなかなか意欲的だ。
CH-Autoは2003年に北京で創業した自動車エンジニアリング会社。20人の創立メンバーのほとんどが北京ジープからスピンアウトしたエンジニアである。王克堅副総裁もそのひとりで、北京ジープでは生産技術やプロジェクト管理を担当した他、クライスラーが親会社だったので「デトロイトでもたくさん働いた」という。
今では従業員320名。5万平方mの敷地に床面積3万平方mという立派な社屋を持ち、自動車メーカーから年間10 - 12のプロジェクトを受けている。王副総裁によれば、成長の秘密は「一所懸命に働くこと」。仕事の需要は多いが、「中国には同業者が50社ぐらいあり、競争も厳しくなっている」とのことだ。
そこで技術力の向上を図ろうと行っているのが天蝎などの自主研究である。2年前の北京モーターショーでは途中経過として外観だけを示すモックアップを披露した。それと区別するため今回のモデルは「新天蝎」もしくは「天蝎二代」とも呼ばれ、スタイリングがリファインされると共に内装も具現化されている。
「自動車メーカーから受託する仕事は必ずしもレベルが高いものばかりではない。仕事量が少ない時期の空いた時間を使って自主研究を行うことで、ハイエンドな仕事を取り組むチャンスをスタッフに与えている」と王副総裁。こうした志の高いリーダーの存在も、中国で自動車エンジニアリング会社が成長している要因のひとつなのだろう。