【北京モーターショー10】日本企業とのEV協業で未来を拓くIAT

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提携発表の記者会見
提携発表の記者会見 全 3 枚 拡大写真

阿爾特(中国)汽車技術有限公司=IATは今回の北京ショーで、エナックス、マイウェイ、ピューズという日本の3社とEV技術に関するパトナーシップを結ぶと発表した。

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IATとエナックス、そして中国のCATARCはすでに3月にリチウムイオン電池を生産する合弁会社、CENATを設立し、上海郊外に3万3000平方mの工場用地を取得。11年夏に生産を始め、初年度は年間100万セル、3年後には500万セルの生産を目指す。

日本の3社にはIAT側からアプローチした。IATは2008年からEVの研究開発を始めていたが、独自にそれを進めるにはノウハウが足りない。もともと日本で創業したIATは愛知県岡崎にIAT(Japan)という子会社を持っており、そこを通じて日本のEV関連ベンチャーをリサーチ。最終的にエナックス、マイウェイ、ピューズに白羽の矢を立てたというわけだ。

モーター制御技術を得意とするマイウェイの楊仲慶CEOは、こう語る。「日本では大手企業がEV開発に参入しており、我々が入り込む余地は少ない。しかし中国にはIATという会社があり、董事長(会長)の宣氏が中心となって自動車メーカーに営業してくれているので、我々の技術を活かす道が広がっていくだろう」。

日本では大手に行く手を阻まれてしまうから中国で事業展開する、というのはリチウムイオン電池メーカーのエナックスにとっても同じだ。エナックスはソニー出身の小沢和典社長が1996年に設立。いち早くラミネート型のリチウムイオン電池を開発し、青森県八戸に工場を建設した。しかし日本の自動車メーカーはぞれぞれ大手電池メーカーとタッグを組んでおり、エナックスが中国に活路を見出すのは言わば必然だった。

ちなみにIATとエナックスの合弁相手であるCATARCは、自動車の規格・基準を策定する国立の自動車技術研究センター。そこが合弁に加わったということは、エナックスのリチウムイオン電池が「国のお墨付きを得た」に等しい意味を持つ。

もうひとつのピューズは、日本を代表する自動車エンジニアリング会社、東京R&DのEV事業子会社。東京R&Dが初めて中国の自動車メーカーからボディ設計を受注したのは87年のことだが、以後、中国ビジネスはあまり広がらなかった。「いろいろ案件はあっても、中国に拠点がないままでは実際のプロジェクトにつなげるのは難しい。中国に拠点を持ちたいと思っていたところに、昨年、IATから一緒にやりたいという話が来た」と小野昌朗社長は振り返る。

一方で東京R&Dは80年代からEVの研究開発に取り組み、この世界の最先端を歩んできた。「EVの工業化は日本の自動車メーカーがいちばん進んでいるけれど、技術レベルで言えば、(我々と)決定的な差はない」と小野社長。EV技術でさらなる成長を図りたいIATにとっては最良のパートナーに違いないが、宣董事長はこう告げる。

「EV技術だけで小野さんにアプローチしたのではない。東京R&Dは日本でいちばんの自動車エンジニアリング会社であり、IATは中国でいちばん。両社が手を組めば、いろいろな可能性が出てくると思う」

そしてエンジニアとして大先輩の小野社長について「私のお兄さんのような存在」と敬意を示し、「私は仕事でときどき熱くなりすぎる。そういうときに小野さんが私を抑えてくれるんです」と苦笑する。急成長を遂げてきたIATだが、宣董事長はそれにおごることなく、日本に学びながら次なる一手を打とうとしているのだ。

《千葉匠》

千葉匠

千葉匠|デザインジャーナリスト デザインの視点でクルマを斬るジャーナリスト。1954年生まれ。千葉大学工業意匠学科卒業。商用車のデザイナー、カーデザイン専門誌の編集次長を経て88年末よりフリー。「千葉匠」はペンネームで、本名は有元正存(ありもと・まさつぐ)。日本自動車ジャーナリスト協会=AJAJ会員。日本ファッション協会主催のオートカラーアウォードでは審査委員長を務めた。

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