[EV充電インフラレポート]充電時間、アクセスの利便性は大幅に向上

エコカー EV
ガソリンスタンド、高速PA、コイン駐車場、ディーラーなど急速充電が可能なスポットは拡大しつつある(写真はローソン大井店 )
ガソリンスタンド、高速PA、コイン駐車場、ディーラーなど急速充電が可能なスポットは拡大しつつある(写真はローソン大井店 ) 全 18 枚 拡大写真

三菱自動車の新世代EV『i-MiEV』を使ったエコラン大会がメディア向けに開催された。4月に一般発売が始まったばかりのi-MiEVを長距離試乗する貴重な機会ということで、EVの実用性を左右する急速充電施設を巡りながらドライブした。

i-MiEVや日産自動車の『リーフ』、スバル『プラグインステラ』など、新世代EVの多くは「CHAdeMO(チャデモ)」と呼ばれる統一規格の急速充電器を使って充電可能。その使い勝手を確かめるべく、あちこちのスタンドで充電を試みた。

第一の印象は、急速充電器の設置密度が当初考えていたよりも高く感じられることだった。今日、チャデモ急速充電器の設置数は東京、神奈川で合計80か所足らずといわれている。数自体はエリア面積を考えると少ないのだが、その多くがコンビニエンスストア、高速道路のサービスエリア、ガソリンスタンド、自動車ディーラーなど、ユーザーに近い施設に置かれているため、アクセスしやすい。数のうえでは急速充電器を大幅に上回るLPG車の給油所より、よほど使いやすい。

また、i-MiEVは0%から80%まで急速充電するのに30分待たなければならないという課題があるが、実際に急速充電器を使ってみると、70%くらいまでは比較的短時間で充電できることもわかった。現場で67%から80%まで急速充電してみたが、1.9kWhを充電するのに10分強。逆算すれば、バッテリー容量の80%にあたる12.8kWhのうち、10kWh以上の量の電力を20分以内で補給できることになる。

現在実証実験として配備されているENEOSの急速充電器は、NEC製のタッチパネルインターフェイスを使って操作するようになっているが、その画面には充電電圧や電流、給電量などの情報が豊富に表示される。その表示によれば、充電電圧は終始361Vで変わらないが、電流は残量69%時には67Aもあったのに対し、充電完了間際には20A前後にまで落ちた。蓄電池は満充電に近づくほど急速に充電効率が落ちるものだが、このインターフェイスからその様子をリアルタイム知ることができた。

急速充電はバッテリー残量2 - 7割での充電を中心に使い、充電率の高い領域はもっぱら夜間充電で補うようにすれば、ドライブ中の充電時間はかなり節約できるだろう。バッテリーの性能不足をはじめ、普及にはまだまだ課題山積みのEVだが、それでも90年代にEVブームが起きた時より、クルマ側もインフラ側も、比べ物にならないほど使えるようになったというのが率直な印象だった。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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