【先進安全技術 比較試乗】芸は細かいが使い勝手に難…日産 フーガ

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日産 フーガ
日産 フーガ 全 24 枚 拡大写真

2009年にボルボが低速時にクルマを緊急停止させる「シティ・セーフティ」を発表して以降、注目を集めている自動ブレーキシステム。国交省は今年に入って安全基準を変更し、今後はさらに自動ブレーキを実装しやすくなるとみられている。

◆レガシィ、フーガ、XC60を同時試乗

5月にはステレオカメラによる先進的な自動ブレーキ制御システムを搭載したスバル『レガシィ』が登場した。今回、新型レガシィを含め自動停止機能など先進の安全システムを搭載する最新のモデル3機種を乗り比べてみた。

ハイテクを満載した日産自動車の高級セダン『フーガ』、自動ブレーキ市販車第一号となったボルボ『XC60』、そしてステレオカメラによる自動ブレーキ制御システム「アイサイトver.2」を搭載し、システム価格を10万円あまりに引き下げた「レガシィ」の3車種で、それぞれ最先端のクルーズコントロール機能を試した。

◆燃費にも効きそうなインテリジェントクルーズコントロール

最初にドライブしたのは日産フーガ。東京・お台場から首都高速道路を通って日産本社のあるみなとみらいへ向かい、高速を下りてからしばらく混雑した市街地を走ってみた。高速道路上はやや混雑気味だったが渋滞はなく、ミリ波レーダーを使って前車に追従して走る「インテリジェントクルーズコントロール」をほぼ全区間で使うという状況だった。

このインテリジェントクルーズコントロール、前車が減速したときにシフトダウンしてエンジンの回転を上げ、燃料をカットするなど芸が細かい。走行中も、前車が急加速してもいきなりダッシュすることはなく、減速時も7速ATが頻繁にシフトチェンジして燃料を節約するなど、インテリジェントペダルとも相まってなかなかエコな様子がうかがえた。

また、クルコンは周囲の車ばかりでなくカーナビとも連動しており、巡航速度を80km/hに設定していても、高速出口のコーナリングを前にするとしっかり減速してくれる。前方車両接近警報や、カメラを使った車線逸脱警報も的確に作動していた。フーガでは衝突が回避できないと判断した場合に自動ブレーキをおこなう「インテリジェントブレーキアシスト」や緊急ブレーキ時にシートベルトを自動で巻き上げる「前席緊急ブレーキ感応型プリクラッシュシートベルト」も装備されるが、これらは最上級グレードの370VIPを除いて「セーフティシールドパッケージ」として27万3000円のオプションとなる。

◆直感的に作動が把握できないユーザーインターフェースは要改善

ネガティブに感じられたのは、ユーザーインターフェースが貧弱であること。クルコンが今、機能しているのかスタンバイなのか無効化されているのか、直感的に把握するのが難しく、いつのまにかシステムがキャンセルされていたということがしばしば。その印象は低速で前車を追従してみた一般道でも同様だった。

市街地では信号待ちがあるため、しょっちゅう完全停止することになるが、数秒後には低速追従がキャンセルされてブレーキがリリースされ、クリープで走り始めてしまう。追従機能に復帰する場合も、ある程度車速を上げてからあらためてスイッチを操作する必要があり、「自分で運転した方が楽」という場面も多くあった。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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